研究課題/領域番号 |
20K07743
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小池 正人 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80347210)
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研究分担者 |
波田野 琢 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60338390)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / シヌクレイン / 凝集体 / p62 |
研究実績の概要 |
p62ーGFPノックインマウスの線条体にシヌクレインフィブリルを注入し、凝集体を可視化する系を確立した。具体的には、注入後1ヶ月から経時的に解析して、凝集体の可視化が良好な時期を検討したところ、注入後4ヶ月以降で注入側や対側で、リン酸化シヌクレイン陽性の凝集体が確認できた。神経細胞体において、これらリン酸化シヌクレイン陽性の凝集体と共局在するGFPシグナルの観察に成功した。ただし、神経細胞体における顆粒状のp62-GFPは、GFPそのものの蛍光は暗いためそのままでは観察が困難であり、GFPに対する免疫染色によりシグナルを増強する必要があった。 新規孤発性パーキンソン病モデルマウスであるアルファシヌクレイン遺伝子のA53T変異や一塩基多型など複数の遺伝子変異を導入した大腸菌人工染色体(BAC)トランスジェニック(Tg)マウスでは、内因性のアルファシヌクレインと同じパターンで、それぞれの部位でリン酸化アルファシヌクレインが高発現する。このマウスにおいて、大脳皮質でリン酸化アルファシヌクレインが高発現することに着目し、その投射先で、パーキンソン病と関連する部位である線条体における神経細胞の樹状突起の形態についての経時的変化(1、3、6、22ヶ月齢)を電子顕微鏡三次元立体再構築により対照群と比較検討した。野生型では加齢とともに、樹状突起スパインの密度が下がる一方、個別のスパインの体積が増大する傾向を示したが、上記A53Tバックトランスジェニックにおいてはこのような経時的な変化が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p62-GFPノックインマウスにおける適切な解析時期が明らかになった。パーキンソン病モデルマウスの詳細な形態観察を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
p62-GFPは凝集体に一致して顆粒状に観察できるが、そのままでは同一部位の光顕、電顕相関観察を行うには蛍光が暗いことが問題である。電子顕微鏡レベルの可視化にあたっては、免疫染色の併用など、いくつかの可能な方法を検討し、最良の方策を見出す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度中に受理を目指した総説が、担当者の異動により受理が遅れたため、その投稿料として、次年度に繰り越して使用する。
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