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2021 年度 実施状況報告書

痛み行動の性差発現における分界条床核背外側CRHニューロンの役割

研究課題

研究課題/領域番号 20K07747
研究機関聖マリアンナ医科大学

研究代表者

萩原 裕子  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90468207)

研究分担者 舩橋 利也  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70229102)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード疼痛 / 分界条床核 / 性差 / ホルマリンテスト / オプトジェネティクス / TRECK法 / CRH
研究実績の概要

これまでの研究で、痛み刺激としてホルマリンテストを行い、一度痛みが抑制される時期に性差が認められること、その時期に分界条床核外側部で雌性特異的にCREBのリン酸化が起こることを明らかにした。また、同部位はCorticotropin-releaseing hormone(CRH)ニューロンが局在している特異的な場所でもある。CRHニューロンは、情動と関連の強い扁桃体にも多く発現しており、扁桃体のCRHニューロンと分界条床核のCRHニューロンは相互に密接に連絡している。
本研究の目的は、分界条床核外側部のCRHニューロンが、痛み行動の性差発現にどのような役割を演じているか、を検討することにある。そのために、遺伝子改変動物とウィルスベクターを組み合わせて利用し、オプトジェネティクスやTRECKの変法などの神経細胞に選択的な操作技術を用いる。性差発現は、ホルマリンテストによる痛み反応の場合、中間相という限定した時間にのみ顕著なため、オプトジェネティクスなどの時間分解能に優れた方法が有効となる。
本研究では、CRH-Creラット(RRRC#00852)を使用し、分界条床核外側部におけるCRHニューロンを選択的に操作することにより、ホルマリンテスト行動への変容について検討する。
本年度は、ラットの分界条床核外側部に脳定位固定装置を用いて、AAV-EF1a-DIO- hChR2(C128s/D156A)-EYFP 、AAV-EF1a-DIO-eNpHR3.0-EYFP を投与し、同時に、光ファイバーの先端を固定した。手術1ヶ月後、ホルマリンテストを行い、光ファイバーの先端から特定波長の光を照射しCRHニューロンを興奮、もしくは抑制させ、行動の変化を観察する予定であった。しかし、光ファイバーを脱落や感染細胞の同定などの問題があり2021年度が終了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究では、CRH-Creラット(RRRC#00852)を用いて、分界条床核外側部(dlBST)におけるCRHニューロンを選択的に操作することによるホルマリンテストでの痛み行動の変容について検討する。そのためには、CRH-Creラット(RRRC#00852)の存在が必須となるが、新型コロナウィルスの影響によりラットの輸入が半年以上遅れた。搬入後は順調に繁殖を続けており、実験をスタートしている。
ラットの分界条床核に脳定位固定装置を用いて、①AAV-EF1a-DIO- hChR2(C128s/D156A)-EYFP (AAV9) (addgene,#35503) 、もしくは、②AAV-EF1a-DIO-eNpHR3.0-EYFP (AAV9) (addgene,#26966) を投与し、同時に、dlBSTに光ファイバーの先端を固定した。脳手術1ヶ月後、ホルマリンテストを行い、光ファイバーの先端から特定波長の光を照射しCRHニューロンを興奮、もしくは抑制させ、行動の変化を観察する予定であった。しかし、光ファイバーを脱落(ラットが取り外してしまう)などが発生しその対応に時間を要した。自作のカラーを装着させることで、対応済みである。
また、①AAV-EF1a-DIO- hChR2(C128s/D156A)-EYFP (AAV9) (addgene,#35503) 、②AAV-EF1a-DIO-eNpHR3.0-EYFP (AAV9) (addgene,#26966) 投与により感染している細胞の同定をISH法を用いて確認したが、EYFPの発現量が少ないことから、その同定に時間を要している。このことから、実験に遅れが出ている。

今後の研究の推進方策

①AAV-EF1a-DIO- hChR2(C128s/D156A)-EYFP (AAV9) (addgene,#35503) 、②AAV-EF1a-DIO-eNpHR3.0-EYFP (AAV9) (addgene,#26966) 投与により感染している細胞の同定のために、ISH法を用いて確認したが、EYFPの発現量が少ないことから実験の進捗に遅れが出ている。
EYFPの抗体を使用することにより、細胞への感染を確認することはできたが、抗体での確認(ICC法)の後、その切片を使用してのCRHニューロンの同定(ISH法)は様々問題から課題が多い。そのため、EYFPの発現が強くICC法を必要としないウィルスを検討している。dlBSTにおけるCRHニューロンにより感染力の強いセロタイプも同定した上でウィルスを導入を決定する。今後、適切なウィルスが決定すれば、ラットの分界条床核に脳定位固定装置を用いてウィルスを投与し、同時に、dlBSTに光ファイバーの先端を固定する技術に問題はないため、実験は問題なく進むものと考える。
雌雄のラットを用いた実験が進めば、次には性腺を摘出した雌雄のCRH-Creラットにエストロジェンとしてエストラジオール (E2) もしくは、テストステロン (Test) を補充したCRH-Creラットを用いて、同様の実験を行う。
さらに、雌雄のCRH-Creラット、もしくは、性腺摘除後にE2 または、Test を補充したCRH-Cre ラットを用いて、dlBST のCRH ニューロンにAAV9-mCherry-Flex.dtA (Virus Vector Core, #4196) を投与し、Toxin Receptor-mediated Cell Knockout (TRECK 法)を応用して、痛み行動と性差の関係を調べる。

次年度使用額が生じた理由

ラットの分界条床核に脳定位固定装置を用いてウィルスを投与し、同時にdlBSTに光ファイバーの先端を固定したが、光ファイバーを脱落(ラットが取り外してしまう)などが発生しその対応に時間を要した。さらに、予定していたウィルスの発現量に問題があり、実験に遅れが出た。そのため、現段階では実験が予定通り行われていないために、使用予定金額が減少している。
しかし、問題解決が進んでいるため、来年度は予定通りに実験が進むものと考えられ、予定通りに費用を使用する。
また、新型コロナウィルスの影響により参加予定であった学会が中止やオンライン開催になることで旅費や参加費がかからなかったことも一因である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Sex differences in pain-induced modulation of corticotropin-releasing hormone neurons in the dorsolateral part of the stria terminalis in mice2021

    • 著者名/発表者名
      Hagiwara Hiroko、Sakimura Kenji、Abe Manabu、Itoi Keiichi、Kamiya Yoshinori、Akema Tatsuo、Funabashi Toshiya
    • 雑誌名

      Brain Research

      巻: 1773 ページ: 147688~147688

    • DOI

      10.1016/j.brainres.2021.147688

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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