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2020 年度 実施状況報告書

活性化型TrkBの遺伝子治療による神経再生および失明からの視機能回復

研究課題

研究課題/領域番号 20K07751
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

行方 和彦  公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 副参事研究員 (70392355)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード軸索再生 / TrkBシグナル / 遺伝子治療 / 緑内障
研究実績の概要

研究代表者はこれまでに神経細胞機能と細胞骨格制御との関係に注目し、マウスを用いた神経軸索の再生研究を行っており、アクチン重合を制御するDock3と呼ばれるタンパクに再生促進効果があることを明らかにしてきた。本研究では網膜の神経に注目し、Dock3シグナルの上流因子であるTrkBを用いた遺伝子治療によって神経再生を強力に促し、軸索損傷によって失明したマウスの視機能回復に挑戦している。そのために、アデノ随伴ウィルス(AAV)を活用した遺伝子発現により、細胞内の再生シグナルを増強することで神経保護および神経再生などを誘導するかどうかについて検討している。特に、独自に開発した常時活性型のTrkB分子を利用した遺伝子治療では、視神経挫滅によって障害を受けた網膜神経細胞を強力に保護出来るだけでなく、切断された軸索を再度伸長させることを見出しており、遺伝子治療の分子として非常に有効である可能性がある。また、この常時活性型TrkB分子はERKシグナルおよびAKTシグナルだけでなく様々な細胞内シグナルを活性化することも明らかとなった。
一方、独自に作製したHaus7 KOマウスにおいて、多局所網膜電図や視覚誘発電位などを測定したところ野生型マウスと相違は認められないことから、視機能は正常であることを明らかにしている。さらに視神経の電子顕微鏡画像からも、微小管形成について顕著な異常は認められないことからも、Haus7 KOマウスにおいて視覚器の発生は正常であることが明確となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ渦のため研究試薬の在庫枯渇などの問題が生じてはいるが、代替え品に差し替えるなどで対応している。また、常時活性型TrkB分子のAAV精製方法も十分に確立しており研究は順調に進行している。

今後の研究の推進方策

常時活性型TrkB分子による神経保護効果および軸索再生効果が、どの細胞内シグナルを介しているのかを明らかにするためERKシグナルまたはAKTシグナルなどそれぞれのシグナル経路を単独で活性化するAAVを作製し、神経保護効果および軸索再生効果についての検討を開始する。

次年度使用額が生じた理由

研究試薬や消耗品の購入は計画通りであったため、次年度への持ち越し金額はほとんど無い。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Roles of the DOCK-D family proteins in a mouse model of neuroinflammation.2020

    • 著者名/発表者名
      1.Namekata, K., Guo, X., Kimura, A., Azuchi, Y., Kitamura, Y., Harada, C. and Harada, T.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 295 ページ: 6710-6720

    • DOI

      10.1074/jbc.RA119.010438

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Topical ripasudil stimulates neuroprotection and axon regeneration in adult mice following optic nerve injury2020

    • 著者名/発表者名
      Nishijima Euido、Namekata Kazuhiko、Kimura Atsuko、Guo Xiaoli、Harada Chikako、Noro Takahiko、Nakano Tadashi、Harada Takayuki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 15709

    • DOI

      10.1038/s41598-020-72748-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] EAAT1 variants associated with glaucoma2020

    • 著者名/発表者名
      Yanagisawa Michiko、Namekata Kazuhiko、Aida Tomomi、Katou Sayaka、Takeda Takuya、Harada Takayuki、Fuse Nobuo、the Glaucoma Gene Research Group、Tanaka Kohichi
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 529 ページ: 943~949

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2020.06.099

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Suppression of Oxidative Stress as Potential Therapeutic Approach for Normal Tension Glaucoma2020

    • 著者名/発表者名
      Harada Chikako、Noro Takahiko、Kimura Atsuko、Guo Xiaoli、Namekata Kazuhiko、Nakano Tadashi、Harada Takayuki
    • 雑誌名

      Antioxidants

      巻: 9 ページ: 874~874

    • DOI

      10.3390/antiox9090874

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 活性型Rasの遺伝子治療による視神経保護と再生への影響.2020

    • 著者名/発表者名
      金義道、本田紗里、北村裕太、郭暁麗、木村敦子、行方和彦、中野匡、原田高幸
    • 学会等名
      第124回日本眼科学会総会
  • [学会発表] Loss of astrocytic ABCA1 induces normal tension glaucoma.2020

    • 著者名/発表者名
      Shinozaki, Y., Namekata, K., Kashiwagi, K., Ohno, N., Segawa, T., Harada, T., Koizumi, S.
    • 学会等名
      FENS 2020 Virtual Forum
    • 国際学会
  • [学会発表] GLAST欠損マウスによる網膜神経節細胞樹状突起の解析.2020

    • 著者名/発表者名
      北村裕太、行方和彦、木村敦子、郭暁麗、山本修一、原田高幸.
    • 学会等名
      第31回日本緑内障学会
  • [学会発表] 失明からの視機能回復に向けた新規遺伝子治療ベクターの開発.2020

    • 著者名/発表者名
      金義道、行方和彦、本田紗里、木村敦子、北村裕太、中野匡、原田高幸.
    • 学会等名
      第19回日本再生医療学会総会
  • [学会発表] TrkB欠損マウスにおける網膜神経節細胞の変性過程の検討.2020

    • 著者名/発表者名
      北村裕太、安土ゆり子、行方和彦、木村敦子、郭暁麗、山本修一、原田高幸.
    • 学会等名
      第74回日本臨床眼科学会

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公開日: 2021-12-27  

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