研究課題
自閉症などの発達障害においても臍帯血や骨髄に由来する造血幹細胞(Hematopoietic stem cells:HSCs)や間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell:MSCs)を用いた幹細胞治療が根本的な治療法として前臨床的段階で報告され始めている。本研究課題では自閉症モデルマーモセットに投与するためのマーモセットのMSCsの培養・作出をした。我々は大腿骨と上腕骨から細胞を分離し、MSCs特異的マーカーと思われる抗体を用いてFACS解析と免疫細胞学的染色を行いMSCsの存在の証明を試みた。MSCsは大腿骨と上腕骨から骨髄を除いた後、トリプシンを用いて消化分離し、15% FBS IMDM またはStemPro MSC SFM (Gibco)で、増殖因子なしで維持した。培地交換を行い、接着細胞のみ培養した。その結果、以下の所見を得た。 1)0日から22日令の新生コモンマーモセットの骨髄から分離した細胞はMSCsの特徴であるfibroblastと同様の紡錘形で、プラスチック培養機材に接着性があり、増殖因子なしで増殖が可能であった。2) 分離したマーモセット細胞はFACS解析でMSCsの特異的マーカーのCD90陽性細胞は75%陽性、CD73陽性細胞は28%であった。3) 細胞免疫学的染色法では細胞免疫用MSCs 特異的抗体CD90とCD105での陽性結果が得られた。4) マウスやマーモセット造血幹細胞のマーカーであるCD117陽性細胞、ヒトで造血幹細胞のマーカーであるCD34陽性細胞はこれらの細胞には含まれていなかった。5)マーモセットでのMSCsについてのこれまでの報告はかなり少ないが、その中でコモンマーモセットでは大腿骨や上腕骨から細胞分離が可能であり、これら細胞からMSCsの特徴を持つ細胞が培養可能であることがわかった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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