研究実績の概要 |
中枢神経系ではオリゴデンドロサイトによって大小様々な神経軸索が髄鞘化されており、その軸索径に応じて髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトのサブタイプ(I型~IV型)が異なることが知られている。さらに脱髄疾患や髄鞘タンパク質遺伝子の変異による疾患では、小径軸索がより脆弱であることが分かっている。小径軸索はI型・II型オリゴデンドロサイトによって髄鞘化されている。本研究では、小径軸索の髄鞘形成に必須の膜貫通型タンパク質 Teneurin-4(Ten-4)に着目して、オリゴデンドロサイトのサブタイプによる小径軸索髄鞘化のメカニズムを解明し、活性化制御分子を同定することを目的としている。当該年度は先ず、野生型マウスの脊髄白質組織でのI型・II型オリゴデンドロサイトの発生を調べ、生後7~11日後に、小径軸索が集中する脊髄後索の皮質脊髄路、薄束、前側索の内側に発生してくることが分かった。さらに、これらI型・II型オリゴデンドロサイトの発生はTen-4欠損マウスでは起こらないことが明らかとなった。これらの結果をまとめ、原著論文を発表するに至った(Hayashi et al, 2020, Sci Rep)。また、関連分野の論文報告とまとめて、総説としても報告した(Suzuki et al, 2020, BIO Clinica; Hayashi et al, 2021, BIO Clinica)。さらに、国内外の学会で成果報告を行った。次年度以降は、分子メカニズムの解明を目的として、解析を進めていく。
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