研究課題/領域番号 |
20K07763
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
井上 健一 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90587974)
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研究分担者 |
相馬 良一 獨協医科大学, 医学部, 助教 (20868054) [辞退]
中舘 和彦 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80372895)
山内 忍 獨協医科大学, 医学部, 助教 (70433589)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | NEDAMSS / 疾患由来iPS細胞 / IRF2BPL / ウェスト症候群 |
研究実績の概要 |
NEDAMSS(NEurodevelopmental Disorder with regression, Abnormal Movements, loss of Speech, and Seizures)は2018年に同定された小児神経変性疾患である。IRF2BPL遺伝子の孤発性点突然変異が責任遺伝子として特定されているが、飜訳された変異タンパクの機能は殆ど分かっていない。IRF2BPL変異を有するNEDAMSS患者から樹立されたiPS細胞を用いて、病態再現を試みた。大脳皮質ニューロンの分化誘導を促進するNGN2遺伝子をiPS細胞で強制発現し、患者由来ニューロンと比較対象ニューロンの細胞死感受性を調べた。しかしながら選択的オートファジー制御因子p62の合成およびアポトーシスメディエーターCaspase-3の切断には、両者で差が見られなかった。プロテオソーム阻害薬を添加して細胞死を起こしやすい条件も検討したが、同様に両者の差は検出できなかった。 その一方で、別のNEDAMSS患者の血液有核細胞がアメリカから空輸され、山中因子の遺伝子導入によりiPS細胞が樹立された。核型解析で染色体が揃わないクローンを除外した結果、患者由来ときょうだい由来でそれぞれ8、2クローン得られた。IRF2BPLのサンガーシーケンスによって、全ての患者クローンに点突然変異(c.519C>G)が確認された。 目下in vitroにおける病態再現が難航しているが、ヒトIRF2BPL遺伝子の変異については続々と報告があり、ウェスト症候群、NEDAMSS、自閉症の症状が見られる。 今後は正常型および変異型のIRF2BPLが結合タンパクとどのようなタンパク複合体を形成しているかに着目し、生化学的なアプローチから病態解明を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初期待された結果は得られていないものの、2症例目のiPS細胞株も樹立され、遺伝学的なエビデンスも蓄積している。
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今後の研究の推進方策 |
IRF2BPL分子そのものに注目した実験デザインを組み直す。 ・iPSのリフェレンス細胞と神経芽腫細胞株を用いてIRF2BPLの機能欠損実験、変異タンパクの機能実験を行う。 ・iPSのリフェレンス細胞と神経芽腫細胞株を用いてIRF2BPLとの結合タンパクを同定する。 ・上記情報から病態を類推し、疾患由来iPS細胞の実験系を再検討する。
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