研究課題/領域番号 |
20K07763
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
井上 健一 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90587974)
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研究分担者 |
相馬 良一 獨協医科大学, 医学部, 助教 (20868054) [辞退]
中舘 和彦 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80372895)
山内 忍 獨協医科大学, 医学部, 助教 (70433589)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | NEDAMSS / 疾患由来iPS細胞 / IRF2BPL |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、NEDAMSS患者から樹立されたiPS細胞を用いて病態再現を試みた。2症例の患者iPS細胞に同一のIRF2BP点突然変異 (c.519C>G)が確認されている。この変異が内在性IRF2BPLタンパクの合成・修飾にどのような影響を及ぼすかについて調べた。 変異型IRF2BPL遺伝子はチロシン残基がストップコドンに置換されるため、C末端領域を大きく欠損したタンパク質が合成されると予想される。ところがウェスタンブロッティングに使用できるIRF2BPL抗体は、C末端を認識するものしか市販されていない。技術的限界から、患者iPS細胞における内在性IRF2BPLタンパク質の量比を測定することができなかった。 この問題を解決するために、IRF2BPLのペプチド断片を全長領域に渡って定量する、タンパク質絶対定量の実験を立ち上げた。 まずはIRF2BPLタンパク質のN末端にアフィニティタグを融合したプラスミドベクターを作成した。これを神経芽腫細胞株で強制発現させ、絶対定量のペプチド標品として準備した。ところがIRF2BPL発現プラスミドはゲノムに挿入されることなく失われ、細胞の生存にとって不利に作用することが示唆された。比較対象として強制発現した患者由来の変異プラスミドは、ゲノムに挿入されることで変異タンパク質を安定して合成した。 そこで代替案として、N末端に蛍光タンパクを融合したベクター、C末端に2Aペプチドを介して蛍光タンパク質を融合したベクターを作成して、セルソーターを活用して安定発現の細胞株を樹立している。並行してN末端を欠損したプラスミドも作成し、安定発現株を樹立している。 IRF2BPL高発現と神経芽腫の相性が悪い可能性も考慮し、髄芽腫細胞株と膠芽腫の細胞株を使用した実験も実施した。このようにして、IRF2BPLを安定して合成する膠芽腫細胞株、髄芽腫細胞株を樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全長IRF2BPLタンパク質を安定して合成する細胞株が樹立できず、トラブルシュートに時間が掛かった。
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今後の研究の推進方策 |
患者由来iPS細胞を用いて、IRF2BPLの全長領域に渡ってタンパク質絶対定量を実施する。 またアフィニティタグ融合のIRF2BPLタンパク質に結合するタンパク質群を精製し、質量分析で同定する。 上記情報から病態を類推し、患者由来iPS細胞の機能実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
IRF2BPL絶対定量の実験開始が遅れている。次年度に絶対定量実験の試薬購入に充てる。
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