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2021 年度 実施状況報告書

遺伝子治療に向けた一塩基編集技術の活用「クラッベ病モデルマウスを用いて」

研究課題

研究課題/領域番号 20K07769
研究機関大阪医科薬科大学

研究代表者

田中 義久  大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (20648703)

研究分担者 濱岡 仁美 (黒瀬仁美)  大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (80545608)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードクラッベ病 / 脱髄疾患 / ゲノム編集 / CRISPR/Cas9
研究実績の概要

本研究は、遺伝性脱髄疾患であるクラッベ病のモデル動物として知られているTwitcherマウスに一塩基編集技術を利用し、一塩基多型によってもたらされる疾患の根本的な治療法の開発に向けた基礎研究を行う。昨年度は、Twitcher マウス由来のシュワン細胞株であるTwS1を入手し、adenine base editors(ABE)を用いてガラクトセロブロシダーゼ(GALC)遺伝子の修復を試みた。ターゲットとなるアデニンをグアニンへと変換する編集効率は36.8%であり、十分にGALC遺伝子の修復に効果が期待できる結果となった。近年では、これまで標的とすることのできなかった領域での編集を可能にするために、編集ツールの改良が盛んに行われている。そこで、当該年度では、編集効率の上昇を図るにあたり、標的範囲が拡張したCas9改変体であるCas9-NGを使用した。その結果、編集効率は72.4%と大幅に上昇した。しかしながら、ターゲットの近傍のアデニンにもグアニンへの編集が生じ、編集効率は65.1%であった。ターゲット以外の編集はアミノ酸の変異が生じ、酵素活性の低下をもたらす可能性が考えられる。そこでediting windowを狭めることができるABEの変異体ABE(F148A)を用いたところ、ターゲットとなるアデニンの編集効率は55.8%であり、近傍のアデニンの編集効率は7.7%であった。最適な編集ツールの検討を行った結果、比較的ターゲットのみを編集することができる編集ツールを取得することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

最適な編集ツールの探索およびAAVベクターの構築に時間を要したため。

今後の研究の推進方策

次年度では、GALC遺伝子の修復に伴い、生化学的にGALC 酵素活性を測定する。GALC 酵素活性の上昇が認められた場合、In vivoでの導入に適したAAVベクターの構築を行う。ゲノム編集ツールはサイズが大きいため、単一のAAVベクターに組み込むことは困難である。そこで、split-intein法(二分割したタンパク質の塩基情報を別々のベクターに組み込み、各々細胞内で発現されたタンパク質が再結合することによって元来のタンパク質として機能することができる手法)を用いて2つのAAVベクターの作製を行う。作製されたAAVベクターをTwS1細胞株へ導入し、GALCのナンセンス変異が修復されているかどうか検証する。さらにTwitcher マウスにAAVベクターを導入し、脱髄の改善を評価する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度でin vivo用のAAVベクターの作製を完遂する予定であったが、編集ツールの探索に時間を要したため、AAVベクター作製のための費用として余剰金が生じた。次年度にAAVベクターを作製するための費用として使用する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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