研究課題/領域番号 |
20K07779
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山中 崇 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50287405)
|
研究分担者 |
木棚 究 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10836034)
水木 麻衣子 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (20574651)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 在宅医療 / 症例 / 登録 / レジストリ |
研究実績の概要 |
本研究は、在宅医療の全体的な姿を客観的にとらえ、よりよい医療を実現するために、在宅医療を受ける患者および在宅医療を提供する医療機関の協力を得て、在宅医療の実践に関する症例登録を行い、在宅医療の姿を客観的に示し、質の向上を図る方法を検討することを目的としている。 本年度は長期的に在宅医療を受ける高齢者を対象とする症例および調査票データを在宅療養支援診療所において収集し、患者の基本情報、主病名、DSAC-21、ESAS、EQ-5D-5L、在宅医療開始後に発生したイベントなどについて分析した。対象者の多くは70~90歳代の高齢者であった。認知症を主病名とする患者は約1/3であったが、DASC-21の合計点が31点以上で「認知症の可能性あり」と判定された患者は約90%であった。非がん疾患を有する高齢者はだるさ、眠気、不安、気分の落ち込み、痛みなど、様々な苦痛を抱えていることが明らかになった。EQ-5D-5Lの効用値は非常に低下した群と中等度に低下した群の2峰性のピークを認めた。在宅医療開始後3ヶ月間に生じたイベントとして、入院約25%、死亡および救急搬送をそれぞれ10%程度認めた。これらの結果は、在宅医療を受ける高齢者を対象として、治療、生活支援、社会的支援のあり方を検討するために重要な知見である。今後、全国多施設でデータを収集して、在宅医療の状況を客観的に捉える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在宅療養支援診療所においてデータ収集を実施している。得られたデータを分析して国際学会での発表と論文執筆を行う。日本在宅医療連合学会研究委員会の委員が増員され、研究を実施する体制が強化された。
|
今後の研究の推進方策 |
在宅療養支援診療所におけるデータ収集を継続する。これまでに得られた知見をふまえ、全国多施設でデータを収集するフォーマットを作成する。そして日本在宅医療連合学会研究委員会および同学会に所属する医師の協力を得て、在宅医療を受ける患者の全国的な症例収集を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は在宅療養支援診療所において研究分担者がデータを収集した。新型コロナウイルス感染症の影響により学会発表に参加する出張旅費が発生しなかった。これまでに得られた知見をふまえ、次年度以降、全国多施設でデータを収集するフォーマットを作成し、日本在宅医療連合学会研究委員会および同学会に所属する医師の協力を得て、在宅医療を受ける患者の全国的な症例収集を実施するために活用することを予定している。
|
備考 |
木棚 究、水木麻衣子、山中崇.在宅医療の症例レジストリシステム構築に向けて.東京大学医学部附属病院第16回22世紀医療センターシンポジウム、2021年3月オンライン.
|