研究課題
基本的転写共役複合体メディエーターはRNAポリメラーゼIIホロ酵素複合体を構成するサブ複合体であり、様々なアクチベーターと物理的に結合してそれらの情報を受けるとともに機能的な転写開始前複合体の形成を誘導して特異的転写を開始させる。メディエーターサブユニットのうちMED1は核内受容体等の特異的コアクチベーターとして動物の様々な生理機構に重要な役割を果たす。これまでに私達はMED1の核内受容体結合能を破壊したMED1変異マウスを作成し、同変異マウスが通常飼育下で特段異常を示さないこと、しかし高エネルギー食飼育で白色脂肪肥大化が抑制され肥満に抵抗性を示すと同時に非脂肪組織の脂肪沈着も抑制されること、その際代謝の改善を認めることを示している(未発表)。本研究はそのメカニズムの1つに2型自然免疫の賦活化があるのではないかとの仮説を立て、その仮説の実証を試みたものである。本MED1変異マウスはIL33を投与して2型自然リンパ球を動員したところ、脂肪組織の中でも特に内臓白色脂肪組織の2型自然リンパ球の動員が野生型よりも倍増した。このとき、組織では好酸性細胞の増加を認め、2型極性マクロファージの動員が考えられた。さらに免疫組織化学的検索を施したところ、同MED1変異マウス内臓白色脂肪組織にてUCP1の染色性の増加を認めた。また高エネルギー食負荷時にも同様のパターンを示すことを示唆するデータを得た。以上の結果は、MED1の核内受容体結合能が過剰な2型自然免疫賦活化を抑制する機能を持つこと、またこの結合能を阻害することにより条件的に2型自然免疫を賦活させうること、その阻害に伴う2型自然免疫賦活化が肥満抵抗性や代謝改善に寄与する可能性があることを示唆する初めての成果である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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巻: 10 ページ: 965
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http://www2.kobe-u.ac.jp/~itomi/