研究実績の概要 |
重症筋無力症(Myasthenia Gravis, MG)患者胸腺と末梢血におけるB細胞異常パターンの検索(令和元年~令和2年度:研究活動スタート支援)と並行して、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)の検索を行った。 コントロール(健常者)20名とMG患者(免疫治療前)20名の血液より末梢血単核球を分離した。また、心臓手術(小児15名と成人10名)もしくは胸腺摘出術を受けた(MG非合併の胸腺腫患者12名とMG患者25名)際に摘出された胸腺より胸腺細胞を単離した。B細胞サブセット(ナイーブB細胞、メモリーB細胞、プラズマブラスト、B220high Thymic B細胞、Tf細胞: CD3(+)CD4(+)CXCR5(+)PD-1(+),もしくはCD3(+)CD4(+)CXCR5(+)ICOS(+)をフローサイトメトリーで解析した. 末梢血単核球および胸腺細胞中のB細胞サブセットやTfh細胞と臨床像、ステロイドによる影響について検討した。術前にステロイド治療を受けたMG群ではステロイド未治療のMG群と比べて胸腺中のTfh細胞が有意に減少していたが, プラズマブラストの割合に差異を認めなかった. 末梢血や胸腺中のTfh細胞と臨床像には有意差がみられなかった。MG患者では末梢血と胸腺共にプラズマブラストが増加しており, 末梢からB細胞が胸腺に移入している可能性が高い. MG患者ではステロイド投与後も, 胸腺摘出術がプラズマブラストの減少を通じて症状の安定に寄与する可能性がある. 第21回日本神経免疫学会学術集会(2020年)にて成果発表を行い、現在MG 患者におけるB細胞サブセットとTfh細胞に関連した論文を投稿中である。
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