重症筋無力症の治療方向性を規定する因子の探索

2021 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20K07784
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 松井 尚子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (10547954)
• 研究期間 (年度): 2022-01-04 – 2022-03-31
• キーワード: 重症筋無力症 / 胸腺上皮細胞 / プラズマブラスト / 濾胞性ヘルパーT細胞 / 難治例

研究実績の概要

重症筋無力症(myasthenia gravis, MG)の治療ターゲットや臨床経過の指標となり得るバイオマーカーの探索を進めている。
まず、ヒト胸腺上皮細胞については、これまで新生児を含む小児の胸腺上皮細胞を単離し、RNAシークエンス解析による網羅的遺伝子発現の解析を行った。クラスター解析により、髄質胸腺上皮細胞(mTEC)と皮質胸腺上皮細胞(cTEC)が概ね、別クラスターに分かれることを確認し、mTECならびにcTEC特異的な遺伝子発現について確認作業を行なっている。
また、1) MG患者末梢血では、健常者と比べ、B細胞サブセットが全体的に高く、特にプラズマブラストは全身型MGで高い傾向を示した。2) MG患者の胸腺では、コントロールの胸腺と比べ、メモリーB細胞とプラズマブラストが有意に高く、さらにプラズマブラストは重症度と相関がみられた。3) MG胸腺の濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)は免疫治療によって発現が低下しており、若年発症のMG過形成胸腺の胚中心形成に抑制的に働いている可能性が示唆された。これら1-3）の結果ついて、誌上発表を行った(Yamammoto Y, et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 2021)。
さらに、B細胞サブセットの解析が、MGの個別化医療に役立つか検証するために、治療反応性のMG患者12名と治療抵抗性のMG患者8名の末梢血からB細胞サブセットの解析を行い、プラズマブラストが治療の指標となり得るか検討中である。

研究成果

• [雑誌論文] Complex hereditary peripheral neuropathies caused by novel variants in mitochondrial-related nuclear genes (2022)
  • 著者名/発表者名: Hiramatsu Y, Okamoto Y, Yoshimura A, Yuan JH, Ando M, Higuchi Y, Hashiguchi A, Matsuura E, Nozaki F, Kumada T, Murayama K, Suzuki M, Yamamoto Y, Matsui N, Miyazaki Y, Yamaguchi M, Suzuki Y, Mitsui J, Ishiura H, Tanaka M, Morishita S, Nishino I, Tsuji S, Takashima H.
  • 雑誌名: J Neurol 巻: 269 ページ: 4129-4140
  • DOI: 10.1007/s00415-022-11026-w.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Intrathymic plasmablasts are affected in myasthenia gravis patients with active disease (2021)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto Y, Matsui N, Uzawa A, Ozawa Y, Kanai T, Oda F, Kondo H, Ohigashi I, Takizawa H, Kondo K, Sugano M, Kitaichi T, Hata H, Kaji R, Kuwabara S, Yamamura T, Izumi Y
  • 雑誌名: Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 巻: 8 ページ: -
  • DOI: 10.1212/NXI.0000000000001087.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] ステイッフ・パーソン症候群 (2021)
  • 著者名/発表者名: 松井尚子、田中恵子、和泉唯信
  • 雑誌名: Brain and Nerve 巻: 73 ページ: 640-646
  • DOI: 10.11477/mf.1416201808.
• [雑誌論文] 多巣性運動ニューロパチー（MMN） (2021)
  • 著者名/発表者名: 松井尚子、和泉唯信
  • 雑誌名: 最新ガイドラインに基づく 神経疾患 診療指針 巻: - ページ: 296-299
• [雑誌論文] Reversible mixed perfusion on 123 I-IMP SPECT in anti-AMPA receptor encephalitis: A case report (2021)
  • 著者名/発表者名: Fukumoto T, Miyamoto R, Fujita K, Murakami N, Matsui N, Izumi Y
  • 雑誌名: J Neurol Sci 巻: 421 ページ: -
  • DOI: 10.1016/j.jns.2020.117306.
  • 査読あり
• [学会発表] Recent advances in neuroimmunological diseases (2021)
  • 著者名/発表者名: Naoko Matsui
  • 学会等名: 14th International Symposium on Nanomedicine (ISNM2021) on joint with 11th Taiwan-Japan-Korea Nanomedicine Meeting
  • 国際学会 / 招待講演