研究課題
ドナーおよび患者因子、各種病態のバイオマーカーの解析を行ない、予後に影響する新たな因子を解明するとともに、候補となる因子を機械学習を用いて個々の患者に合わせた生存、合併症発症、再発を予測できるツールを開発し、患者の最適な意思決定、ドナー選択を補助し、移植成績の向上を図ることを目的とし、同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)後の予後に影響するバイオマーカーを検討した。1)移植後シクロホスファミドを使用したHLAハプロタイプ一致allo-HSCTを施行した患者91名においてドナーNK細胞の活性化受容体NKG2D遺伝子多型の影響を検討した。移植後再発/進行はrs1049174CCドナーからの移植でrs1049174 CG/GG ドナーより低値であった(25.0%対52.4%、P = 0.041)。2)allo-HSCT患者174名で移植前NT-proBNPとBNPと移植成績の関連を検討した。NT-proBNPとBNPの上昇は全生存率低下および非再発死亡上昇に関連しており、移植後100日目の死亡率に対するBNPおよびNT-proBNPのカットオフ値は、それぞれ30.6および282 pg / mLであった。3)allo-HSCT後の急性辺縁系脳炎患者14名とカルシニューリン阻害剤誘発性脳症11名を検討し、5年非再発死亡率は急性辺縁系脳炎で50%、カルシニューリン阻害剤誘発性脳症で63%であった。多変量解析で、高齢、HLA不一致非血縁ドナー、カルシニューリン阻害剤およびミコフェノール酸モフェチルによる移植片対宿主病(GVHD)予防が急性辺縁系脳炎と有意に関連していた。骨髄異形成症候群、HLA不一致非血縁ドナー、グレードII-IVの急性GVHDが、カルシニューリン阻害剤誘発性脳症と有意に関連していた。4)機械学習によるallo-HSCT後の予後予測精度の検討のため60例を登録した。
2: おおむね順調に進展している
1)移植後シクロホスファミドを使用したHLAハプロタイプ一致allo-HSCTを施行した患者におけるドナーNK細胞の活性化受容体NKG2D遺伝子多型の影響を検討し、移植後再発/進行はrs1049174CCドナーからの移植でrs1049174 CG/GG ドナーより低値出会った結果は、現在論文投稿中である。2)allo-HSCT患者の移植前NT-proBNPとBNPと移植成績の関連を検討し、NT-proBNPとBNPの上昇は全生存率低下および非再発死亡上昇に関連しており、移植後100日目の死亡率に対するBNPおよびNT-proBNPのカットオフ値は、それぞれ30.6および282 pg / mLであった結果は、Bone Marrow Transplantation誌に受理された。3)allo-HSCT後の急性辺縁系脳炎、カルシニューリン阻害剤誘発性脳症の検討し、高齢、HLA不一致非血縁ドナー、カルシニューリン阻害剤およびミコフェノール酸モフェチルによる移植片対宿主病(GVHD)予防が急性辺縁系脳炎と有意に関連していた。骨髄異形成症候群、HLA不一致非血縁ドナー、グレードII-IVの急性GVHDが、カルシニューリン阻害剤誘発性脳症と有意に関連していた結果は、現在論文投稿中である。4)機械学習によるallo-HSCT後の予後予測精度の検討のため60例を登録し、予定どおり進行中である。5)最適ドナー条件を考慮したPTCYを用いたHLAハプロタイプ一致allo-HSCTは9例登録し、やや遅れて進行中である。
1)同種造血幹細胞移植におけるドナーおよびレシピエントの各種バイオマーカー、免疫担当細胞受容体ならびにサイトカイン遺伝子多型と移植後アウトカムとの関連の解明:引き続き、各種バイオマーカーと移植後アウトカムとの関連を解析する。移植関連血栓性微小血管症(TA-TMA)と補体関連遺伝子、補体タンパクの関連の解析を進める。2)機械学習による同種造血幹細胞移植後の予後予測精度の検討:順調に症例集積が進んでおり、「臨床医による移植後1年転帰(全生存、無増悪生存、再発、非再発死亡)の予測値」と機械学習モデルによる移植後1年転帰の予測値について移植後1年全生存率、移植後1年無増悪生存率、移植後1年累積再発率、移植後1年累積非再発死亡について予測精度の比較を行う。3)最適ドナー条件を考慮したPTCyを用いたHLA半合致血縁ドナーからの同種造血器幹細胞移植:引き続き症例の登録を継続する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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http://www.med.osaka-cu.ac.jp/labmed/