研究実績の概要 |
申請者らがデータベースを構築したコホート集団を用い、高齢者の活動性低下に関連する因子を探索した。その結果、地域在住閉経後女性集団において終末糖化産物の血中濃度が心血管イベントと関連することを明らかにした(Urano et al. Geriatr Gerontol Int. 21: 651-656, 2021)。また、同集団においてMTHFR遺伝子におけるアミノ酸変異を伴う遺伝子多型が高齢者の腰痛、ADL低下の大きな原因となる変形性腰椎症の進行に関連することを見出した(Nakano, Urano et al. J Clin Endocrinol Metab, 106, 3428-3438, 2021)。また、通所リハビリテーション利用者の握力と歩行速度のデータに関する測定精度の妥当性を検討するため本データの最小可検変化量や信頼性を報告した(Sawaya, Urano et al. Geriatric Nursing 42 1184-1189, 2021)。さらに我々はCOVID-19感染症による社会活動制限が高齢者のフレイルに与える影響を横断的に明らかにした。この解析によるとコロナ禍に通所リハビリテーション利用の中止した者は,運動量が減少し,疲労感が強いことが示されており、高齢者の活動生低下の予防において、通所リハビリテーションの重要性を明らかにした(Hirose, Urano et al. PeerJ 9: e11160, 2021)。最後にメタ解析の手法によりフルーツや野菜の摂取がフレイルの進行に抑制的な役割を果たしている可能性を見出し報告した(Kojima, Urano et al. J Frailty Aging. 11: 45-50, 2022.)。このように2021年度は様々なコホート集団のデータを活用して高齢者の活動性低下に関連する因子を同定した。
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