研究実績の概要 |
申請者らがデータベースを構築したコホート集団を用い、高齢者の活動性低下に関連する因子を探索した。その結果、地域在住閉経後女性集団において窒素酸化物(NOx)の血中濃度が低値であると骨折発症が起こりやすいことを明らかにした(Shiraki, Urano et al. PLoS One, 18, e0280854, 2023)。また、通所リハビリテーション利用者が通常筋力からサルコペニアに悪化する要因、もしくはサルコペニアから通常筋力に回復する要因を探索し、ベースラインの筋肉量と栄養状態の重要性を見出した(Sato, Urano et al. 35:242-246, 2023)。さらに我々は地域在住高齢者を対象にCOVID-19感染症パンデミック前の2017年-2019年とCOVID-19が感染拡大した2020年-2021年の計5年間のフレイル有症率を調査した結果COVID-19感染拡大後にフレイルが有意に増加し、ロバスト(健康)が有意に減少していたことを明らかにした(Hirose, Urano et al. J Am Geriatr Soc In Press, 2023.)。またCOVID-19拡大前の2019年と拡大後の2021年で,地域在住高齢者における体格測定と生活習慣に関する追跡調査を行なった。その結果、体重と体幹部筋肉量が2021年には有意に減少した.また、体幹部筋肉量減少した群では生活習慣において、外出頻度が減ったことが関連していることを明らかにした(Hirose, Urano et al. Int J Environ Res Public Health. 19: 11438, 2022)。すなわち我が国においてはコロナ禍による生活習慣の変化が高齢者の健康に悪影響を与えている可能性を見出した。またイギリスロンドン市のコホートを用いて、女性のフレイル発症に関与する因子を探索したところ、早期閉経はフレイルの発症のリスク因子となることを見出した(Kojima, Urano et al. J Am Geriatr Soc 70: 2602-2609, 2022)。このように本研究課題の3年間で様々なコホート集団のデータを活用して高齢者の活動性低下に関連する因子を同定した。
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