研究課題/領域番号 |
20K07798
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三條 伸夫 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任教授 (00343153)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アミロイドβオリゴマー |
研究実績の概要 |
本プロジェクトのR3年度の目標は、昨年度に続き①モデルマウス脳ホモジュネートにおけるアミロイドβオリゴマー(AβO)の定量、②モデルマウス脳切片におけるアミロイドβ(Aβ)とAβOの出現時期の詳細、③モデルマウス脳におけるAD病理の変化の詳細であったが。昨年度は、新型コロナウイルス感染症の流行により、緊急事態宣言が発令され、動物実験施設への入場及び実験が制限されてたしまったため、昨年度から今年度にかけて下記の実験を遂行し、遅れていた分を大部分回復することができた。
①令和2年度の結果より、Aβの増加が線形であるのに対し、AβOの増加は指数関数的であることが確認できたため、他のAβOである、ピログルタミルAβやtoxic AβO conformer等についても定量化を行うこととした。 ②3ヶ月齢から抗AβO抗体陽性像のみが存在し、Rikenマウスの行動異常出現時期以降とされる7ヶ月齢では、コアを有する典型的なアミロイド班が出現し、抗AβO抗体陽性領域は、ThioflavinS陽性像の周りを囲むように染色性が見られており、アミロイドの凝集塊周辺にAβOが付着してアミロイド班が増大してゆくものと考えられた。 ③動物実験施設の使用制限のため、Osakaマウスの飼育維持ができなくなったため、もともと飼育されていたADモデルマウス(APPswe, PSEN1ΔE9)を用いて、AβO抗体から作製したfragment抗体(Fab)を抹消から投与した際の脳への移行を確認し、末梢からのFab投与による脳への移行がほとんど見られないことを確認した。脳内のAβOに対して、どれだけのAβO抗体が脳に投与されれば除去ができるのかを確認するために、高分子であるFabを血液脳関門(BBB)を通過することのできるミセルに結合させて末梢から投与し、Fab単独投与に比べ、約80倍の量が脳に移行することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行により、実験用マウスの飼育数、動物実験施設への入場及び実験が制限されたため、Osakaマウスは実験に用いることができなくなったため、研究計画の変更が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画を一部修正して、飼育ができなくなったOsakaマウスを用いないないこととし、タウ病理に関しては実験から削除する。その代わり、AβO以外の毒性のあるAβである、ピログルタミルAβとtoxic Aβ conformerの測定を取り入れることとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行による影響で、動物実験室における使用可能なケージの数が減少し、Osaka変異のADモデルマウスの維持ができなくなったため、その分の維持費が減っています。代わりに、APPswe/PSEN1dE9のモデルマウスを他の研究室から分与頂き、少数で飼育をしています。現在使用しているADモデルマウスでは、いずれのマウスでもタウ蛋白の蓄積が確認できないため、タウ蛋白に関する実験を中止し、代わりに、毒性アミロイドとして知られている毒性コンフォマー・アミロイドβオリゴマーとピログルタミル化アミロイドβをR4年度にELISAで測定する予定です。
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