研究課題
本プロジェクトのR5年度、最終年度としての目標は、AD病理変化であるタウ蛋白のリン酸化や、病的なマイクログリアの活性化などが出現するAβオリゴマー(AβO)の域値を解明し、抗体によるAβO除去効率と除去効果を調べることである。本研究の開始後に新型コロナウイルス感染症の流行があり、緊急事態宣言による動物実験施設への入場及び実験が制限されてたしまったため、実験の進行が遅れ、部分的な修正を行ったが、最終的には目的を達することができた。①3ヶ月齢から抗AβO抗体陽性像のみが存在し、7ヶ月齢ではコアを有する典型的なアミロイド班が出現し、アミロイドの凝集塊周辺にAβOが付着してアミロイド班が増大していた。②動物実験施設への入場が制限されたため、RikenマウスとOsakaマウスの使用を断念した。AβO抗体から作製したfragment抗体(Fab)をマウスに抹消から投与した際の脳への移行実験を行い、、末梢からのFab投与による脳への移行がほとんど見られないことを確認した。高分子であるFabによる治療効果の検証はできないため、血液脳関門(BBB)を通過することのできるミセルに結合させて末梢から投与し、Fab単独投与に比べ、約80倍の量が脳に移行することを確認し、ミセル化したAβO抗体を用いて実験をおこなった。③動物実験施設への入場制限のため、当初予定していた月齢での実験を開始できなかったが、37週齢のADモデルマウス(APPswe, PSEN1ΔE9)を用いて、モデルマウスの脳内の毒性アミロイドを十分に消去できるだけの量のミセル化AβO抗体Fabを末梢からマウスに10週間連続投与した結果、脳内の毒性アミロイドを大幅に減少させ、行動解析実験で認知機能の低下抑制効果があることが確認できた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Nanobiotechnology
巻: 21 ページ: 36
10.1186/s12951-023-01772-y