研究課題/領域番号 |
20K07799
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
奥村 伸生 信州大学, 学術研究院保健学系, 特任教授 (60252110)
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研究分担者 |
樋口 由美子 信州大学, 学術研究院保健学系, 講師(特定雇用) (40757241)
平 千明 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (40779310)
新井 慎平 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (70866053)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フィブリノゲン / 好中球 / NETs形成能 / M1-マクロファージ / THP-1 |
研究実績の概要 |
フィブリノゲン(Fbg)の凝固・線溶系機能以外の炎症関連機能として、好中球のNETs形成能とマクロファージ(Mφ)分化能について研究を行った。 好中球のNETs形成能においては、ヒト精製好中球に終濃度5μMのA23187で刺激してNETsを誘導する系に市販Fbg(Merck社)を添加したところ、濃度依存的にNETs形成能の抑制が観察された。しかし、奥村研究室で精製したFbgを用いたところ、この抑制が認められなかった。Plasminogen(Plg)のコンタミの影響を疑いPlg-freeの市販Fbg(Enzyme Research Laboratories)を用いて再検討を行った結果、再度NETs形成能抑制が認められた。以上の結果より、市販Fbgにおいて観察されるNETs形成能抑制はコンタミしているPlg以外の物質による影響が考えられたため、初期の目的であった変異型FbgによるNETs形成能抑制実験は中止した。 マクロファージ(Mφ)分化能においては、急性単球性白血病由来の浮遊培養細胞THP-1を終濃度5μMのPMAで刺激して得たM0-Mφ(接着細胞)をかきとり、健常人およびFbg機能異常症患者の精製血漿Fbg 0.3mg/mLを添加したシャーレに24時間培養し、M1-あるいはM2-Mφ分化の影響を研究した。M1-Mφ分化の判定は、TNF-mRNA、M2-Mφ分化はCD206-mRNA発現量を定量RT-PCRで測定した。その結果、健常者Fbgにおいて増強したM1-Mφへの分化がBβGly15Cys-Fbgでは完全に抑制された。一方、AαArg16His-Fbg及びγArg275Cys-Fbgでは、抑制は観察されなかった。 以上の研究より、健常人FbgはM0-MφをM1-Mφに分化させる機能を有するが、一部の機能異常Fbgではその機能が著しく低下していることが明らかになった。
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