研究実績の概要 |
卵白アルブミン(OVA)由来の細胞障害性T細胞(CTL) およびヘルパーT細胞(Th)エピトープを連結したハイブリッドエピトープ長鎖ペプチド(long epitope)を作成 し、シアル酸・Siglec-G・CD24複合体を分解しTLRシグナルを増強するシアリダーゼと共に、生分解性ナノ粒子(polylactic coglycolic acid: PLGA)と混合し た。これを骨髄由来の樹状細胞(BMDC)へパルスし、抗原特異的リンパ球(OT-I細胞、OT-II細胞)と共培養したところ、long epitope単独群と比較し、OT-I細胞 (CTL)、OT-II細胞(Th)の強い増殖能を確認した。以上の結果から、long epitope + PLGAによるワクチンは、シアリダーゼを添加することによりさらに強力なワ クチン療法となる可能性がある。しかし、実験を反復したが、有意差は認められなかった。また、シアリダーゼと、担体であるPLGAの相互作 用の問題が存在す る可能性もある。 そこで次に、脂質ナノ粒子(LNP)を担体としたワクチンの作成に着手した。今回、既に作成したlong epitopeをマイクロ流路を用いてLNPに内包したLNPナノ粒子 ワクチンの作成に成功した。マイクロ流路による混合時のpHなどを滴定し、long epitopeの十分な内包率を確認した。作成したLNPは、平均粒子径が156nm, 多分散指数0.099と粒子径も均一であ り, ζ電位+1.84mVとほぼ中性電荷のため細胞障害性はほぼ認めなかった。今後、このlong epitope/LNPナノ粒子ワクチンの免疫誘導能を検討する予定である。
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