研究課題/領域番号 |
20K07803
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤坂 憲 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (70468081)
|
研究分担者 |
樂木 宏実 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20252679)
杉本 研 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (20437403)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 活性型ビタミンD / サルコペニア / 骨粗鬆症 |
研究実績の概要 |
本研究課題においては、地域在住高齢者を対象とした疫学研究であるSeptuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians (SONIC) 研究と、大学病院通院患者を対象とした臨床研究を行っている。 2020年度には、SONIC研究においてこれまでに調査されているデータと保存血清をもとに、血液中の25水酸化ビタミンD濃度を測定し、調査結果との関連を検討した。過去に調査されているデータをもとに行った解析の結果は以下の通りである。2016年に調査を行った70歳代の対象者316名(男性144名、女性172名)において、保存血清で血中25水酸化ビタミンD濃度を測定したところ、平均は21.6ng/mL(標準偏差4.98ng/mL)であった。血中25水酸化ビタミンD濃度は、年齢やBMIとは相関を認めなかったが、四肢骨格筋指数(SMI)とはr=0.25, p<0.0001の有意な相関を認めた。 2021年度には、COVID-19の流行状況を注視しつつ、可能な範囲で地域の住民調査、血液検査を行う予定である。この調査においては身体活動量調査、体組成調査、身体機能(歩行速度、握力、膝伸展筋力)調査、血中25水酸化ビタミンD濃度の測定を行い、ビタミンDのレベルとサルコペニアに関連する骨格筋量、身体機能の関連を検討する。 大学病院通院患者を対象とした臨床研究については、「臨床研究法」に則って、対象者からの書面による同意を得た上で、倫理的配慮を最大限に行いつつ遂行する予定である。現在は本研究のプロトコー ルについて、大阪大学医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会に申請を行う準備を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題においては、地域在住高齢者を対象とした疫学研究(SONIC研究)と、大学病院通院患者を対象とした臨床研究を行っている。しかし、2020年度においてはCOVID-19の流行のため、地域在住高齢者を対象とした疫学研究を実施することが全く不可能であった。高齢者は感染リスク、重症化リスクが高いため、地域で会場を設営して疫学調査を行うことに対して、対象者、行政ともに困難との判断がなされたためである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、COVID-19の流行状況を注視しつつ、安全に配慮して可能な範囲で地域の住民調査、血液検査を行う予定である。 また大学病院通院患者を対象とした臨床研究については、大阪大学医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会での承認を得られた後に実施を予定している。70歳以上で骨粗鬆症とサルコペニアを呈している通院中の高齢者を対象に、身体トレーニングと活性型ビタミ ンD補充による体組成、身体機能の変化、サルコペニア改善効果を検証する。年齢、ビタミンDレベル、身体機能で層別化したランダム化を行 い、対照群と介入群の設定を行う。対照群では身体トレーニング、介入群では身体トレーニングと活性型ビタミンDの補充をそれぞれ行う。研究開始から半年後と1年後にビタミンDを含む血液検査、体組成、身体機能、 骨塩定量の評価を行い、各群での介入前からの変化を検討し、介入効果を判定する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度にはCOVID-19流行のため、地域在住高齢者を対象とした疫学研究を実施することが困難であった。そのため、2020年度に疫学研究に支出する予定であった金額を繰り越すこととなった。2021年度には、感染の流行状況を見極めつつ、安全に配慮して可能な範囲で疫学研究を予定している。さらには2021年度に病院での臨床研究を実施するため、予算を執行する予定である。
|