研究実績の概要 |
本研究課題においては、地域在住高齢者を対象とした疫学研究であるSeptuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians (SONIC) 研究と、大学病院通院患者を対象とした臨床研究を行っている。2022年度には、SONIC研究においてこれまでに調査されているデータと保存血清で測定したデータをもとに、解析をすすめ、その結果を日本老年医学会学術集会で発表した。2023年度中に英文論文で報告を行うべく、データの整理と論文執筆を継続している。老年医学会学術集会で報告した研究成果は、以下の通りである。対象は2016年にSONIC研究に参加した70歳代310名と、2015年にSONIC研究に参加した90歳代48名である。血清25(OH)Dは70歳代で21.6±5.0ng/mL、90歳代で23.4±9.1ng/mLであった。70歳代の解析では、SMI(r=0.21, p<0.0001)と握力(r=0.30, p<0.0001)はそれぞれ血清25(OH)D値と有意な相関を認め、SMIは性別、BMI、血清アルブミンで調整後も血清25(OH)D値と関連を認めた(β=0.053, p=0.048)。しかし握力については、多変量で調整すると血清25(OH)D値との関連は消失した。90歳代の解析では、SMI(r=0.29, p=0.049)と握力(r=0.34, p=0.018)はそれぞれ血清25(OH)Dと相関が認められたが、多変量で調整後は独立した関連は認められなかった。 大学病院通院患者を対象とした臨床研究については、研究で使用を予定している活性型ビタミンD3製剤であるエルデカルシトールの流通不安定もあり、またいわゆるコロナ禍の状態であったため、進捗が遅れている状態である。
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