研究課題
ラミニンは基底膜を構成する蛋白質のひとつであり、α・β・γの3つのポリペプチド鎖から構成される三量体糖蛋白である。細胞接着、分化、増殖、遊走に関与している。ラミニン332(以下 Ln-332)はα3鎖、β3鎖、γ2鎖から構成され、上皮細胞の運動や接着の制御を介して上皮構造の維持に働いている。ラミニン332 の構成成分であるラミニンγ2(以下Ln-γ2)単鎖は、様々な消化器癌の先進部分で特異的に発現する。膵癌・胆道癌診断におけるLn-γ2のバイオマーカーとしての有用性を検討した。1). J-MICCより膵癌コホート血清を供与いただき、既存マーカーであるCEA・CA19-9およびLn-γ2ELISAを行い、解析中である。2). 術前に内視鏡的な胆汁採取が可能であった外科治療が施行された14例の胆道癌でLn-γ2のIHC、血清Ln-γ2ELISA測定、胆汁中のLn-γ2のWB解析を施行した。それぞれIHC(38%)、ELISA(43%)、WB(64%)でLn-γ2が陽性であった。3). ラット初代培養星細胞は培養ディッシュ上で星細胞を培養するとαSMAを発現する活性化筋線維芽様細胞に変化する。一方、IL-6に代表される炎症性サイトカインが発現するi-CAFへの変化は膵癌の進展には特に重要とされている。マトリゲル内の三次元培養でαSMA発現が増強していない静止期状態の星細胞培養系を確立した。本系にIL-1αやIL-6を添加するとi-CAFへの変換が観察された。最終年度までの検討でLn-γ2は膵胆道癌のバイオマーカーとして有用な可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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