研究課題/領域番号 |
20K07817
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
伊藤 雅史 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80393114)
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研究分担者 |
川上 恭司郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90589227)
水谷 晃輔 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (80397356)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エクソソーム / 細胞外小胞 / アルツハイマー病 / 診断法 |
研究実績の概要 |
細胞から分泌されるエクソソームは由来する細胞の特徴を反映することから、体液中エクソソームは新たなタイプのバイオマーカーとして期待されている。本研究では、血清から単離したエクソソーム中のアミロイドベータ・リン酸化タウ蛋白の検出によりアルツハイマー病と対照の鑑別が可能かどうかを検証するとともに、プロテオーム解析を行い、新規診断マーカーの候補を同定する。続いて、マーカーの検出システム構築した後に多検体で解析を行い、アルツハイマー病・MCI(軽度認知機能障害)と対照症例の鑑別における臨床的有用性を検証することを目的としている。 今年度は個々の検体からエクソソームを精製し、ラベルフリーによる定量プロテオーム解析を行うことを試みた。昨年度と同様にフォスファチジルセリン(PS)アフィニティ法により血清からエクソソームを単離し、解析を行うことにしたが、その過程で精製に関しての疑義が生じたため、別法による血清からのエクソソーム精製の検討を行った。ヒトプール血清を使用し、PSアフィニティ法を含めて、別のアフィニティ精製法、サイズ排除クロマトグラフィー法などによりエクソソームを精製し、サンドイッチELISAやLC-MS/MS解析でエクソソームマーカーの検出具合などを比較した。今後は最も良い精製条件と考えられる方法を選択し、アルツハイマー病の検体を用いた解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述の通り、プロテオーム解析に一番重要と考えられる血清からのエクソソームを精製する方法に問題を生じたため、精製の検討をやり直しているところである。精製の再検討は最終段階にあり、ある程度目途は立っているが、進歩状況としてはやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
エクソソームの精製法の再検討を完了し、複数検体をまとめたプール検体ではなく、個々の検体での解析が可能であるラベルフリー定量によるプロテオーム解析を行い、アルツハイマー病群と対象群を比較することで、より精度の高いマーカー候補タンパク質を同定する。加えて、アミロイドベータやリン酸化タウ蛋白など既存のマーカータンパク質がエクソソーム中にも存在しているのかを検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
エクソソームに関する研究は本研究以外にも行っており、他の研究の試薬と共通するものが多く、使用期限を考慮して既に購入済みの試薬を先に使用するなど、予定の試薬の購入を遅らせる事態が発生したが、基金である利点を活用し、翌年分にスライドすることが可能であったため商品の重複購入を避けることにした。これからプロテオーム解析、ウエスタンブロット解析、ELISA、抗体など研究計画に基づき無駄なく執行していく予定である。
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