研究課題/領域番号 |
20K07818
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研究機関 | 東京都立駒込病院(臨床研究室) |
研究代表者 |
下山 達 東京都立駒込病院(臨床研究室), 腫瘍内科, 医長 (70450591)
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研究分担者 |
大保木 啓介 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医学研究センター, 副参事研究員 (80415108)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 悪性リンパ腫 / 次世代シークエンシング |
研究実績の概要 |
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)は悪性リンパ腫の中で最も頻度の高い病型で、悪性リンパ腫全体の約40%を占める。標準治療(化学療法)により、半数以上のDLBCL患者で根治を望める一方で、標準治療抵抗性の難治性症例が30-40%存在する。DLBCLには不均一な生物学的背景が予測されており、それに基づいた治療選択が必要となってきている。近年、既存の分子標的薬に繋がる遺伝子異常の探索や、特定の遺伝子異常を標的とする新薬の開発につなげるために、次世代シークエンサー(NGS)を用いた遺伝子異常のプロファイルを利用する「ゲノム医療」が進展している。DLBCLに対して開発中のBTK阻害剤(Ibrutinib, 本邦未承認)は、CD79B変異とMYD88 L265P変異の両方を有する症例では80%と高い奏効を示すため(Wilson et al., 2015)、遺伝子変異に基づいた治療選択の適否に関心が集まっている。今後、NGSを利用したがん遺伝子パネル検査によって、患者ごとの遺伝子異常を得ることで、個別化医療だけでなく臨床開発を後押しできる可能性も期待されている。本研究では、難治性悪性リンパ腫における遺伝子変異に基づく個別化医療実施の基盤とするべく、難治性DLBCLの治療法への感受性を明らかにするため、NGS(次世代シークエンサー)によるカスタム作製リンパ腫パネルを用いた難治性DLBCL特異的な遺伝子プロファイル取得を行う。そのため、本年度は、カスタム悪性リンパ腫パネルのデザインを完了した。また、診断時FFPE試料からin-house98例の薄切試料と、そのHE標本による腫瘍含有率データを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
悪性リンパ腫に見出される遺伝子変異データから、カスタムデザインの遺伝子パネルを作製出来た。さらに、in-houseの98例について、FFPE薄切標本とそれぞれの腫瘍含有率データを得ることが出来、当初の計画どおりに進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、カスタムデザインの遺伝子パネルを用いて、取得したFFPE薄切試料から抽出したDNAを用いたライブラリ作製を行い、NGS解析を実施する。変異コール後のフィルタリングを経て、変異アリルを決定し、その変異の意義付けを行っていく。主として、再発の有無によって、変異の偏りがないかどうかなど、予後との関連について探索を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
FFPE薄切サンプルの入手に非常に時間を要したため、本年度の人件費以外の支出が計画よりも少なくなったため繰越金が生じた。 繰越金は今年度請求予算と共に、主に解析費用等に充てることで執行する計画である。
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