研究課題/領域番号 |
20K07818
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研究機関 | 東京都立駒込病院(臨床研究室) |
研究代表者 |
下山 達 東京都立駒込病院(臨床研究室), 腫瘍内科, 医長 (70450591)
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研究分担者 |
大保木 啓介 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医学研究センター, 副参事研究員 (80415108)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 悪性リンパ腫 / 次世代シークエンシング |
研究実績の概要 |
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)は悪性リンパ腫の中で最も頻度の高い病型で、悪性リンパ腫全体の約40%を占める。近年の大規模なゲノム解析によってDLBCLについての不均一な生物学的背景が明らかになりつつある。患者ひとりひとりの遺伝子変化の特徴に基づいた治療選択の時代が目前に迫っていると考えられる。実際に、BTK阻害剤であるibrutinibは、層別化前のDLBCL患者では効果が見出しにくく最初の臨床試験 (J Clin Oncol 2019;37:1285) では治療効果が得られていないものの、遺伝子変化に基づくDLBCL層別化を行うと、MCDサブタイプおよびN1サブタイプにおいて、その治療効果が顕著であることが最近報告された (Cancer Cell 2021;39:1643)。MCD、N1サブタイプの遺伝子変化の特徴は、それぞれ、MYD88 L265PおよびCD79B変異(MCD)、NOTCH1変異(N1)である(NEJM 2018;378:1396)。これはCD79B変異とMYD88 L265P変異の両方を有する症例では80%と高い奏効を示すことを示した研究(Nat Med 2015;21:922)を支持するもので、将来のIbrutinibの使用は、遺伝子変化に基づいて層別化されたMCD、N1サブタイプ症例への選択的適応となる方向性が予想される。今後、NGSを利用したがん遺伝子パネル検査によって、患者ごとの遺伝子異常を得ることで、個別化医療だけでなく臨床開発を後押しできる可能性も期待されている。本研究では、難治性悪性リンパ腫における遺伝子変異に基づく個別化医療実施の遺伝子診断の基盤とするべく、NGS(次世代シークエンサー)によるカスタム作製リンパ腫パネルを用いた難治性DLBCL特異的な遺伝子プロファイル取得を行う。本年度は、昨年度デザインしたカスタム悪性リンパ腫パネルによるデータ取得と得られた遺伝子変異の意義付けを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カスタムデザインの悪性リンパ腫遺伝子パネルを用いて得られたin-houseの114症例について体細胞変異データを取得できた。対照となる正常組織DNAのない解析系のため、一塩基多型やホモポリマー変異等の排除フィルター条件を設定した結果、累積の変異アリルは1713個となった。現在、文献・データベースを利用しながら、各変異の意義付けを進めるとともに、担当医へ返却するレポート様式を検討中であり、当初の計画どおりに進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた変異アリルについての意義付けを継続し、担当医返却用の遺伝子レポートのひな形を作成していく。また、再発の有無によって、変異の偏りがないかどうかなど、変異アリルと臨床データや予後との関連について探索を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、1名のスタッフの産休、1名のスタッフの雇用が継続できなかったため、本年度の支出が計画よりも少なくなったため繰越金が生じた。繰越金は今年度請求予算と共に、主に解析費用等に充てることで執行する計画である。物品としては、標準試料バリデーションの実施、ハードディスク等の購入のほか、バイオインフォマティクス解析費等に使用する計画である。
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