研究課題/領域番号 |
20K07826
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大八木 保政 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (30301336)
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研究分担者 |
武井 聡子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (40838017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 糖尿病 / インスリンシグナル / アポモルフィン / アミロイドβ蛋白 / モデルマウス |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)の認知機能改善には、脳神経細胞で低下しているインスリン受容体感受性、すなわち細胞内のインスリンシグナリングの改善が必要である。私たちは、in vitroでインスリンシグナリングの定量的評価法として、マウス神経芽細胞腫Neuro-2a (N2a)において、インスリンシグナリング分子をTime-Resolved Fluorescence Energy Transfer (TR-FRET)法とウェスタンブロット法で解析する方法を確立した。昨年度は、神経系細胞インスリンシグナリングの指標であるリン酸化Akt (pAkt)の測定におけるTR-FRETとウェスタンブロットの二つの方法を比較し、また両方の方法を同時に行うことで、さらに信頼度の高い解析法を確立した。それを用いて、アポモルフィン(APO)とAβの作用を再検証した。その結果、APOはAβの作用に拮抗するというよりも単独でPI3K-Aktシグナルを活性化する可能性が示唆された。APOは元々ドパミン受容体アゴニストとして知られており、現在、他のドパミン受容体アゴニストでも同様の作用が見られるか、APOの特異的作用か検討中である。
一方、私たちは鹿児島大学歯科解剖学との共同研究で、3xTg-ADマウスにおいて、抜歯すると脳幹部三叉神経核の変性から海馬神経細胞の変性脱落につながり認知機能障害が促進されることをあきらかにした(Goto et al, J Alzheimers Dis, 2020)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ流行による実験人数や時間の制限、また研究分担者である武井助教が2020年秋より産休・育休中であったため、実験の進行が遅れがちであった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年6月から武井助教が復帰予定であり、可能な範囲で実験計画を遂行していく。また、細胞実験のデータ収集が一段落した段階で論文を作成し、続いて3xTg-ADマウスによるin vivo実験も進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗が見込みよりやや遅れており、消耗品の使用が少なめだったため。次年度の実験費として使用する予定。また、コロナ流行の関係で、学会もWeb開催が多く、出張費も低額だったため。
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