研究課題
ストレス曝露による頻尿誘発、膀胱機能障害における頻尿症状がストレス曝露により増悪する事が古くから報告されているものの、その機序についてストレスを受容する脳との関連で明らかにした報告は少ない。初年度(令和2年度)は脳内ニコチン受容体(nAChR)および硫化水素(H2S)による排尿抑制に抑制性神経伝達物質GABAが関与する事を解明した。2年度目(令和3年度)は、脳内nAChRを介した排尿抑制における脳内H2Sの関与、ストレス関連神経ペプチド・コルチコトロピン放出因子(CRF)が興奮性神経伝達物質グルタミン酸を介した排尿促進に関与する事、を明らかにした。最終年度(令和4年度)はガス状伝達物質・一酸化炭素(CO)が排尿機能へ及ぼす影響について検討した。実験にはウレタン麻酔下の雄性ラットを用い、脳定位固定装置に固定した条件下で側脳室に種々の薬物を投与した。排尿機能は膀胱へ挿入したカテーテルへ生食を持続注入(12 ml/h)した際の膀胱内圧変化から評価した。結果、(1)CO供与薬CORM3脳室内投与は排尿間隔(排尿頻度の指標)を延長させたが、CO合成酵素阻害薬ZnPP脳室内投与は排尿間隔を短縮させた。(2)CORM3による排尿間隔延長はGABA受容体遮断薬の脳室内前処置により抑制された。以上の結果から、脳内の内因性COはGABA神経系を介して排尿抑制に関与することが明らかとなった。本研究の3年間の成果から、ストレス曝露による頻尿誘発・膀胱機能障害に伴う頻尿症状増悪に対し、脳内nAChR、脳内H2S、脳内CRF及び脳内COが新たな治療標的となる可能性が示唆された。
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Continence
巻: 2S2 ページ: 100319
10.1016/j.cont.2022.100319
http://www.kochi-u.ac.jp/kms/ff_phrmc/