研究課題/領域番号 |
20K07829
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
藤井 博匡 北海道医療大学, その他, 客員教授 (70209013)
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研究分担者 |
下濱 俊 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60235687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 脳内レドクス / アルツハイマー病 / 電子常磁性共鳴 / イメージング |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)の理解を進める一つの糸口として、ADの生理学的情報を非破壊的に可視化する研究手法の開発が重要な課題となっており、ADの発症予測が可能な非侵襲的イメージング技術の出現が求められている。そこで本研究課題では、酸化ストレス状態がAD病理カスケードの早期段階で変化する点に着目し、ADモデルマウスの脳内酸化ストレス関連パラメーターを非侵襲で可視化しうる、電子常磁性共鳴法(EPR)を用いたAD病態の早期診断システムの開発を目指している。 2020年度では、①ADモデルマウス脳内酸化ストレスパラメーター可視化システムをEPRイメージング装置をベースに開発を開始した。また、②脳内レドックス状態を可視化する新たなニトロキシドベースのプローブの開発、および、脳内酸素濃度測定プローブの開発を開始した。上記の開発システムとプローブを用い、離乳後のADモデルマウスにおいてレドックス(酸化還元)状態、酸素分圧を経時的に可視化する一連の研究を開始した段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①脳内酸化ストレスパラメーター可視化システムの製作について: 従来のin vivo EPR imaging装置にrapid-scan coilを追加し、改良したEPRイメージング装置は順調に稼働できている。ファントムでのイメージングおよびADモデルマウス頭部の画像も撮像可能な段階である。 ②レドックスおよび脳内酸素プローブの合成、開発: 新規の脳内レドックスプローブを開発し、イメージングに使用できることを確認した。一方、脳内酸素濃度測定プローブの開発は少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①脳内レドックス評価について: 脳内酸化ストレスパラメーター可視化システムの製作が完了したので、先ずはADモデルマウスの脳内レドックス状態を経時的に撮像する研究を開始する。新規に開発した脳内レドックスプローブをADモデルであるAPP/PS1トランスジェニックマウスに投与し、脳内レドックスイメージング研究を実施する。 ②酸素分圧と脳内糖代謝能の計測用プローブの開発研究を進める。酸素分圧測定用プローブは水不溶性のナノ粒子であるため、大脳皮質への留置を予定しており、水溶性のプローブは、尾静脈投与と側脳室への投与を行い、マウス頭部での酸素分圧測定を経時的に実施する。 ③PETで使用するFDG(フッ素化グルコース、非RI型)にニトロキシドを結合させたプローブの合成も進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大のため、学会参加が制限されたため、旅費等の支出が少なくなったため。
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