研究実績の概要 |
本研究課題では、酸化ストレス状態がアルツハイマー病(AD)病理カスケードの早期段階で変化する点に着目し、ADモデルマウスの脳内酸化ストレス関連パラメーターを非侵襲で可視化しうる、電子常磁性共鳴法(EPR)を用いたAD病態の早期診断システムを開発することである。今年度は、ADマウスの脳内酸化ストレス状態を高感度に可視化する目的で、血液脳関門透過性に優れた4-oxo-2,2,6,6-tetramethyl-piperidine-d16-1-oxyl(D-Temp)をレドックス感受性プローブとしてEPR画像を経時的に撮像する実験を行った。過去の報告例では、9ヶ月齢以降、コントロールマウスよりもADマウスの脳内において酸化ストレスによる損傷が検出されていたが、よりレドックス感受性の高いD-Tempを使用することで、7ヶ月齢に於いても脳内酸化ストレス損傷が発生していることをEPRイメージング画像から見出すことが出来た。 脳内の酸化ストレス損傷を7ヶ月齢よりも初期の段階に置ける脳内酸化ストレス損傷の発生をEPR画像において検出するため、D-Tempよりもレドックス感受性の高いプローブである 4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl (Tempol)と2,6-dispiro-4',4"-dipyrane-piperidine-4-one-N-oxyl (DiPy)を用いてEPRイメージング画像の撮像を開始した。高速に画像取得できるようパラメーターを検討し、画像SNRを上げ、精度の高いレドックス画像が得られるか検討している。
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