① アルツハイマー病(AD)モデルマウスを用い、脳内酸化ストレス度合いを早期に検出できるかを検討した。ADモデルとしてAPP/PS1トランスジェニックマウスを用い、脳内酸化ストレス度合いの評価は、既に脳内酸化ストレス度合いの評価に用いられてきたMethoxycarbonyl-PROXYL (MCP)と比較する方式により5種類のnitroxideプローブを非侵襲系で評価した。今回新たに評価したのは、重水素化したTempone (Temp)、Tempo、Carbonyl-PROXYL acetoxymethyl ester (AMCP)、Tempol、hydroxymethyl-PROXYL (HMP)であった。この5種類のプローブのうち、脳内移行の効率が高く、脳内酸化ストレス度合いの評価が可能であるのはAMCPと重水素化Tempであった。AMCPは、脳内分布がMCPと非常に似ており、高感度な脳内酸化ストレス状態の評価が可能であることが見出した。 ADマウスと、ワイルドマウスを用いて比較検討を行ったところ、酸化ストレス度合いの早期評価の可能性が得られた。 ② ADモデルマウスによるレドックス状態と脳内酸素分圧の経時的可視化について。脳内酸化ストレス状態は重水素化Tempを用いて、酸素分圧評価はLiNc-BuOを脳内留置して経時的な評価を行った。ワイルドマウスでは6ヶ月齢、9ヶ月齢での計測が出来ており、当初の計画の3ヶ月齢での評価を試行錯誤で試みており、若年から高齢期までの評価がある程度評価可能な段階まで到達している。
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