研究実績の概要 |
県単位レセプトデータベース(2012~2017年)よりすべてのインフルエンザ患者(12.2万人)を抽出し、インフルエンザ診断後の入院割合, リスク因子別入院割合, 抗インフルエンザ薬処方割合を解析。インフルエンザ後に入院した患者の割合は, 69歳以下で3%以下, 70-79歳で7%, 80-89歳で16%, 90歳以上で24%と高齢者で著明に増加した。基礎疾患(重症化リスク因子)を持つ患者は持たない患者の3-4倍入院割合が高いことが分かった。抗インフルエンザ薬は91%の患者に使用されており、諸外国と比べ非常に高い処方割合が示された。 2県のレセプト(国保+後期高齢者)データベース(2013~2020年10月)より、のべ923万回の経口抗菌薬処方を解析。急性咽頭炎・気管支炎・感冒に対する抗菌薬処方は、AMR対策導入以降(2016-2019年)、10-15%の減少がみられた。クリニック、小規模(200床未満)病院、および小児において、特に高い減少効果がみられた。経口抗菌薬処方数は、2013年から2019年の間に15-30%減少したことを示した。経口抗菌薬の内訳は第3世代セファロスポリン、マクロライド、キノロンが引き続き80%以上を占め、使用動向に大きな変化がないことを示した。歯科領域では、AMR対策導入以降も経口抗菌薬処方数、処方内訳いずれも変化がないことを示した。 レセプトデータベースを用いたインフルエンザと高血圧治療の関連について、1次データの抽出を終え、high-dimensional propensity score法による解析を進めている。また、別のレセプトデータベースによるHIV関連医療の解析について審査および解析手続きを進めている。
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