研究課題
臨床研究:血液透析患者全264例の血清でアシルカルニチン(AC:C2-C18)のプロフィールを測定した。解析対象は、CRP<0.3mg/dL、フェリチン<300ng/mL、出血・感染症なしに限定した171例。1) 新規の造血規定因子の探索:全例では、logTG、log(C18:1)が網赤血球数(Ret)の正の独立規定因子で、Fe、男性が負の独立規定因子であった。男性群では白血球数、log(C10:1)が正の独立規定因子であった。女性群ではlogTG、log(C3)が正の独立規定因子であった。2) 新規のEpo抵抗性(ERI)規定因子の探索: 全例で、TC、TC、DM、log(C2/C16+C18+C18:1)、Fe、血小板数、DMがERIの負の独立規定因子であった。男性群ではlog(C2/C16+C18+C18:1)、Feが負の独立規定因子であり、女性群では血小板数とTSATが負の独立規定因子であった。3) Ret,ERIに対する各種ACの相関係数値とACアシル基炭素数との相関:Retとは殆どのACが正相関でより長鎖で高度であった。ERIとは有意な相関は少ないが、炭素数の増加に伴い負相関から正相関へ有意に変化し、β酸化の遅延がERIの増加に関与する可能性があった。4) 全例でのERIの著明低値,高値例の探索:前向きにに調査したが、ESAの必要度が経時的にある程度変動し,確定的な症例は得られなかった。造血細胞実験:臨床データではAC全般でRetとの正相関があり、AC蓄積が終末の赤血球造血と関連すると推測されたため、NaB(1mM)によるK562細胞の赤芽球への分化誘導を試みた。Hbの発現増強は確認できなかったが,PDHのリン酸化の増強とCPT発現の低下があり、赤芽球の分化過程で糖・脂肪酸酸化の好気性糖酸化から嫌気性解糖へシフトする可能性が考えられ、AC動態の背景となった。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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