研究課題/領域番号 |
20K07857
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
竹内 啓晃 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (90346560)
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研究分担者 |
大星 航 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (10636020)
矢野 有佳里 高知大学, 医学部, 特任助教 (30866372) [辞退]
長沢 光章 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (40538550)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヘリコバクターピロリ / 生物学的多様性 / 薬剤耐性菌 / H. pylori flora / ファージ / 血小板 |
研究実績の概要 |
ピロリ菌関連胃外疾患の病態機序は未だ不明な点が多い。罹患率と有病率の齟齬(地域や個人間)のみならず、診療での薬剤感受性試験に基づく除菌不成功例の増加など、これまでの研究では十分に説明できない。その理由は胃内ピロリ菌の正確な感染状態(叢形成と経時的変化が引き起こす生物学的多様性)の解明不足による。殆どの研究は1株/1患者で構築され、診療も1株の薬剤感受性試験結果を基に抗菌薬が選択される(場合によっては感受性試験未実施で、保険適応承認抗菌薬投与)。しかし、胃内ピロリ菌は著しい遺伝子変異能を有し、多様な外的要因(ファージ感染含)や内的環境(胃前庭部と胃体部などの感染部位間の解剖学的相違)に応じて種々の変異株を創出し叢形成(ピロリ菌フローラ:H. pylori flora)を形成し持続感染している。 この「胃内感染ピロリ菌の生物学的多様性」を本研究では薬剤耐性菌に注目し、その生物学的多様性(薬剤耐性株と感受性株の共存)を証明した。41名(合計502株)を対象とした結果、耐性株と感受性株の混在例はCAM14.6%、AMPC7.3%、MNZ36.6%、STFX29.3%であり、少なくとも1剤でも混在していた割合は61%であった。さらに、共存患者の解析結果より、CAM耐性株は胃体部に多く、AMPC耐性株は胃前庭部から多く検出され、胃内の解剖学的相違も見出した。 また、ファージ感染株の作成に成功し、その株からファージ脱落株も獲得し、2株間で比較解析した。その結果、2株間でピロリ菌の生化学的性状が異なり、ファージが本菌の多様性創出に関与することを明らかにした。 さらに、本期間で明らにしたピロリ菌体成分(Lpp20)の血小板凝集・活性化誘導に関する総説を論文発表した。
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