• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

臨床検査の異常反応の検出と精度保証の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K07858
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

清宮 正徳  国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (20554265)

研究分担者 松下 一之  千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (90344994)
佐藤 正一  国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (90803255)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード異常反応 / AI / 主成分分析 / 薬剤
研究実績の概要

本研究は、日常検査における臨床化学検査の精度を保証するために、生化学自動分析装置から出力されるデータに加え、反応中の吸光度の推移を観察することで突発的に発生する異常を検出することを試みている。
我々はこれまでアルブミンの異常反応に着目して研究していたが、今回は他の共同研究施設に協力を求めると共に、これまで実施した分散異常、濁り異常、主成分分析に加え、吸光度が徐々に低下する現象のチェック法(エンド安定性試験)を開発した。そしてこれらの機能を生化学自動分析装置のデータ監視用コンピュータに組み入れ、日々の日常検査項目の反応波形を確認した。
その結果、これまでの方法で検出されてきたM蛋白などによる妨害に加え、新たに血中酵素のアノマリーの検出、および尿中生化学検査における薬剤の影響を発見した。アノマリーは内視鏡的逆行性胆管膵管造影の症例で発見されたが、これまでALPのみで発見されていた大分子型のアイソザイムがアミラーゼで初めて発見された可能性がある。また薬剤の影響について解析を進めた結果、当該薬剤が還元性を持ち、尿中には大量に排泄された結果尿中生化学検査項目の発色を妨害したことが推察された。近年の検査試薬は最終発色に酸化縮合を用いている物が多く、これらの検査項目は同様に発色が妨害されて偽低値を発生させ、ひいては誤診を引き起こしている可能性がある。
今回開発したエンド安定性確認を含め、これらの異常反応の検出を日常検査の中でリアルタイムに実施することは、臨床検査値の信頼性向上に貢献すると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は、日常検査における臨床化学検査の精度を保証するために、異常反応や試薬の分注異常を効率的に検出することを試みている。
反応波形の各種吸光度の分散を計算する方法に加え機械学習法(AI)を用いて異常を検出する方法を実施した結果、これまでの方法では検出できなかった異常を検出することができたことから、本内容についての論文を投稿中である。また新たに開発したエンド安定性についても論文投稿を準備中である。
コロナの影響もあり全体的に進行がやや遅れたこと、海外の学会などでの研究報告が困難であったことから、研究期間を延長した。

今後の研究の推進方策

反応波形異常の研究については、引き続き研究協力施設と連携して新たな異常の発見を試みると共に、尿中検査項目の薬剤による影響について引き続き研究を進めたい。またこれまでは第2試薬添加後の反応異常に着目していたが、第一反応領域の異常について解析できるように準備中である。
また今年度はこれまでの研究成果の論文化を進め行く予定である。

次年度使用額が生じた理由

本研究は、日常検査における臨床化学検査の精度を保証するために、異常反応や試薬の分注異常を効率的に検出することを試みている。コロナの影響もあり全体的に進行がやや遅れたこと、海外の学会などでの研究報告が困難であったことから、研究期間を延長した。これらの状況に伴い次年度使用額が発生した。
反応波形の各種吸光度の分散を計算する方法に加え機械学習法(AI)を用いて異常を検出する方法を実施した結果、これまでの方法では検出できなかった異常を検出することができたことから、本内容を論文し投稿中である。また新たに発見した現象について投稿準備中である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Development of a plasma maltose assay method as a screening test for upper gastrointestinal disorders2024

    • 著者名/発表者名
      Komene Tetsuya、Kai Kotoko、Kinpara Kiyoko、Sato Tomoaki、Hokazono Eisaku、Shimosawa Tatsuo、Osawa Susumu、Seimiya Masanori
    • 雑誌名

      Annals of Clinical Biochemistry: International Journal of Laboratory Medicine

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1177/00045632231224218

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Combinational antibody detection approach increases the clinical validity of colorectal cancer screening2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Sohei、Hiwasa Takaki、Kitamura Kouichi、Kano Masayuki、Hoshino Tyuji、Hirano Sho、Hashimoto Mayuko、Seimiya Masanori、Shimada Hideaki、Nomura Fumio、Matsubara Hisahiro、Matsushita Kazuyuki
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Laboratory Analysis

      巻: 37 ページ: e24978

    • DOI

      10.1002/jcla.24978

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] UTX inactivation in germinal center B cells promotes the development of multiple myeloma with extramedullary disease2023

    • 著者名/発表者名
      Rizq Ola、Mimura Naoya、Oshima Motohiko、Momose Shuji、Takayama Naoya、Itokawa Naoki、Koide Shuhei、Shibamiya Asuka、Miyamoto-Nagai Yurie、Rizk Mohamed、Nakajima-Takagi Yaeko、Aoyama Kazumasa、Wang Changshan、Saraya Atsunori、Ito Ryoji、Seimiya Masanori、et al
    • 雑誌名

      Leukemia

      巻: 37 ページ: 1895~1907

    • DOI

      10.1038/s41375-023-01928-7

  • [学会発表] 新規高感度発色法によるAFP測定法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      沢田 真里奈, 篠原 柊希, 平沢 佳与, 鎗水 恵璃, 小林 崇平, 松下 一之, 大澤 進, 清宮 正徳
    • 学会等名
      日本医療検査自動化学会
  • [学会発表] 肝臓癌の発症・進展機序の解明2023

    • 著者名/発表者名
      堀井 雪乃, 小林 崇平, 志田 隆史, 佐藤 智明, 松下 一之, 清宮 正徳
    • 学会等名
      日本医療検査自動化学会
  • [学会発表] 臨床検査の医療への貢献 検査室における電気泳動検査の有用性と大学教育2023

    • 著者名/発表者名
      清宮 正徳
    • 学会等名
      日本電気泳動学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 清宮正徳、沢田真理奈、篠原柊希、平沢佳与、鎗水恵璃、小林崇平、大澤 進、松下一之2023

    • 著者名/発表者名
      新規法によるAFP測定法の開発
    • 学会等名
      生物試料分析科学会
  • [学会発表] 米根鉄矢、清宮正徳、外園栄作、大澤 進2023

    • 著者名/発表者名
      マルトースの感度測定法の開発
    • 学会等名
      生物試料分析科学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi