研究課題
近年、腸内細菌と認知症との関連が注目されている。一見接点のなさそうな二者の組み合わせであるが、これまでは見えなかった「新しい臓器」としての腸内細菌の解明が認知症の予防につながり、国民の健康生活の改善に貢献する可能性がある。腸内細菌に関する臨床研究の結果、①認知症と腸内細菌叢(エンテロタイプ)に有意な関連があった。②軽度認知障害(MCI)群と認知機能健常群との比較でもエンテロタイプは異なっており、認知症になる前から腸内細菌叢に変化が生じていた。③加齢や生活習慣病によってエンテロタイプの割合に違いがあった。腸内細菌の代謝産物を解析した結果、④認知症群で、アンモニアなどの有機酸は増加し乳酸値は減少していた。さらに、⑤腸内細菌は大脳白質病変(脳MRIの異常所見)とも関連していた。⑥大脳白質病変については、画像解析ソフトによる評価特性についてのサブ研究も実施した。⑦食品と腸内細菌の関連を調査するため、食事アンケートも実施し、食事や栄養と腸内細菌との関連を解析した。また、腸脳相関の機序解明のために、血液バイオマーカーも解析した。バイオマーカーについては、脳の組織障害を反映するニューロフィラメントL(NfL)と細菌関連のバイオマーカーであるリポポリサッカライド(LPS)を測定した。⑧NfLはMCIや脳小血管病とよく相関し、⑨LPSもMCIと有意に関連した。動物モデル研究を研究分担者の道川誠先生が実施した。アルツハイマー病モデルマウスにBifidobacterium breve(MCC1274)を投与してアルツハイマー病の進行を抑制しうる知見が得られた。現在は、腸内細菌、細菌代謝産物、認知機能の関連を包括的に評価し、腸内細菌と認知症について関わるメカニズム解明を目標にしている。また、口腔内細菌(歯周病)と認知機能との関連についても、歯科のグループと連携して研究を展開している。
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