研究課題/領域番号 |
20K07863
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
濱口 毅 金沢大学, 医学系, 准教授 (70452109)
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研究分担者 |
山田 正仁 金沢大学, 医学系, 教授 (80191336)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Alzheimer病 / アミロイドβ蛋白 / 個体間伝播 / 医療行為 / 防御法 |
研究実績の概要 |
合成Aβ1-40及びAβ1-42ペプチドによるAβ凝集体を試験管内凝集系で作成し、それらのAβ凝集体を105℃5分から135℃120分までの様々な条件によるオートクレーブ処理を行った。チオフラビンT法によってAβ凝集体の線維形成を継時的に観察し、異なる条件によるオートクレーブ処理におけるAβ 凝集体の繊維形成の変化を比較した。Aβ凝集体の線維形成は、オートクレーブの処理時間が長く、温度が高いほど抑制された。Aβ1-40凝集体は115℃5分あるいは105℃60分で線維形成促進効果が消失したが、Aβ1-42凝集体はそれらの条件では線維形成促進効果を消失することは出来ず、線維形成促進効果消失に135℃120分のオートクレーブ処理を必要とした。さらに、世界最速の高速原子間力顕微鏡を用いて、オートクレーブ処理前後におけるAβ 凝集体の凝集効果の変化を比較したところ、135℃120分のオートクレーブ処理でAβ1-42凝集体の線維伸長速度が低下した。 オートクレーブ処理前後におけるAβ 凝集体の構造を構造変化をチオフラビンT法、円偏光二色性スペクトル測定で検討したところ、オートクレーブ処理によってAβ凝集体のβシート構造の割合が減少していた。電子顕微鏡による評価では、オートクレーブによって線維状のAβ凝集体の長さが短くなった。 以上の試験管内の実験の結果からは、オートクレーブによって、Aβ凝集体の長さは短くなり、βシート構造の割合が減少することで凝集効果が低下すると考えられた。Aβ1-40及びAβ1-42凝集体両方の凝集効果を不活化するには、135℃120分のオートクレーブが必要であった。オートクレーブは、Aβ病理の個体間伝播を予防する方法として有用である可能性があると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験管内での検討で、オートクレーブによるAβ病理の個体間伝播を予防する可能性がある条件を見出すことが出来ており、計画通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
試験管で見出したAβ病理の個体間伝播を予防する可能性がある条件が生体でも有効であるかを動物実験で確認する。
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