研究課題
ヒトの非侵襲脳刺激による可塑性誘導の変化が、神経変性疾患における症状とどのように関係するか解明を行い、症状の客観的指標や予後の予測因子となるように今後臨床的に役立てることがきるかを目的に研究を行った。令和2年度は、ヒトの神経変性疾患における可塑性誘導の役割を明らかにするために、神経可塑性異常が発症に関係する神経症状の解明を行った。方法は、今年度は運動野の長期増強効果の影響を取り上げた。可塑性誘導を起こす方法としては、4連発磁気刺激法を用いた。対象はまずパーキンソン病とした。臨床症状を運動症状および非運動症状のスケールと神経可塑性誘導の程度の相関を分析した。結果、パーキンソン病では長期増強誘導は減弱しており可塑性誘導の異常がしめされた。内服薬により改善はえられた。各種症状との対応を分析した結果は、神経可塑性誘導と特に関係をしめす運動症状が検出された。客観的な症状の評価スケールとしても今後用いていける可能性を有していると考えられた。また、これまでの他の種々の非侵襲脳刺激法を用いた報告での結果は内服薬の効果など報告によりばらつきがあったが、今回の結果では動物実験での結果と同様の結果が得られ、選択した非侵襲脳刺激法は可塑性誘導の方法として問題ないと考えられた。この結果について学会で報告するとともに、現在論文投稿準備中である。また、パーキンソン症候群である進行性核上性麻痺においても同様に症状との関連を検討した。進行性核上性麻痺の場合には、長期増強効果と症状との関係はパーキンソン病と異なることが明らかとなった。この結果についても学会で発表して、今後論文としてまとめていく。
3: やや遅れている
新型コロナの感染予防のため神経変性疾患患者の来院や入院を控えるため検査人数が予定よりも少なくなっているが、結果は得られてきている。歩行解析の導入はややおくれている。
今後、可塑性誘導を調べた神経変性疾患患者において症状の進行との対応を分析する。健常ボランティアの募集も
新型コロナ感染のため共同研究者と打ち合わせを集会ではできなくなり、Web会議でおこなった。また、学会発表もオンラインで行うこととなり旅費を使用しなくなった。また物品購入でデモや納入のための立ち入りが制限されたため、物品の購入も遅れている。これらはオンラインでデモをおこなってもらい次年度に導入する予定としている。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件、 招待講演 8件)
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