研究課題/領域番号 |
20K07867
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
渡辺 保裕 鳥取大学, 医学部, 准教授 (20335540)
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研究分担者 |
本多 直人 鳥取大学, 医学部, プロジェクト研究員 (10838486)
笹岡 直人 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80432607)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 原発性進行性失語症 / 前頭側頭型認知症 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)や前頭側頭型認知症(FTD)の失語症状は,典型例は原発性進行性失語症(PPA)と一致したり少なくとも一部重複することを考慮し,PPAの3病型を評価するスケールの作成を試みた. 申請書に記載の評価項目1から9の具体的な質問項目の候補を選定した(現在までの検討の結果項目数は10項目に増やした).PPA,ALSおよびFTD患者,健常対象者,他の神経疾患患者に対して試験的に実施した.評価における不具合の修正と質問項目の確定のため,現在まで16例に対して検査を実施している.今後得点合計(中核症状+支持項目)が最も高い下位分類(PNFA,SD,LPA)が臨床診断と合致するよう各評価項目の得点を配分する.評価スケールの作成に当たって失語領域の専門家にコンサルトを行う. 以上より確定した,PPA評価スケールを用いてPPA,ALS,FTD他の疾患への妥当性を評価する予定である.先に記述したようにALSの言語症状はPPAの3病型に完全に一致することより,その不全型を経験することの方が多い.本スケールでALSの言語障害パターンを明らかにすることが可能と考える. 言語機能の他にもALSでは,FTDに類似した性格・行動変化,認知機能障害および失語症を高頻度に呈する.本研究はALSとFTD患者を対象に臨床データ(発症年齢,性,経過月数,発症部位,他),各種評価スケール(運動機能,認知機能,行動障害,および言語評価スケール)と定量的脳画像データ(MRI,SPECT)を集約して解析する.各モダリティ間の関連性と症状進展・予後予測因子を検討し,運動症状と多彩な非運動症状を包括したALSとFTDの全体像の描出を試みる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ALSやFTDの失語症状は,典型例はPPAと一致したり少なくとも一部重複することを考慮し,PPAの3病型を評価するスケールの作成を試みた. 申請書に記載の評価項目1から9の具体的な質問項目の候補を選定した(現在までの検討の結果項目数は10項目に増やしている).PPA,ALSおよびFTD患者,健常対象者,他の神経疾患患者(主にパーキンソン病患者)に対して試験的に実施し,評価における不具合の修正と質問項目の確定を現在までに16例に実施している. 検査はラップトップコンピュータ上のモニターに提示し,質問の音声も合成音声をコンピュータから出力するようにした.結果的に,コロナ下に配慮して,検者と被検者との会話と接触を最小限に抑えるものとなった.
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今後の研究の推進方策 |
①評価スケールの作成に当たって失語領域の専門家にコンサルトを行うように調整を進めている.今後得点合計(中核症状+支持項目)が最も高い下位分類(PNFA,SD,LPA)が臨床診断と合致するよう各評価項目の得点を配分する. ② PPA評価スケールの検証 PPA評価スケールをPPAの各病型,ALSおよびFTDの多数例で実施し,正常値(normative data)を確立する.評価対象を脳血管性失語症(Broca失語,Wernicke失語,他)に拡げ,本スケールにおけるPPA各病型と脳血管性失語症の違いを明らかにする.PPA評価スケールと標準失語症検査(SLTA)と比較しPPA評価スケールのバリデーションを行う. ③ 音声データの解析 PPA評価スケール実施中の,自発言語,復唱,物品呼称等の音声データを解析し,各病型の音声診断の自動化を検討する. ④ 臨床データと臨床評価スケールの取得 単施設研究として,臨床データ(発症年齢,性,球症状の有無,病期,教育歴,発症部位,予後),評価スケール(運動機能(ALSFRS-R),行動異常(ALS-FTD-Q),認知機能(ECAS),言語(PPA評価スケール,SLTA),不安・抑うつ,呼吸機能)を取得する.収集した項目の相互関係,症状の進展様式,予後への寄与について検討する. ⑤ 定量画像評価 単施設研究として実施する.MRI定量画像および脳血流定量画像はstatistical parametric mapping(SPM)およびvoxel-based morphometry(VBM)として標準化して解析に供する.④の臨床評価パラメータと萎縮(MRI)と脳血流(SPECT)の相関を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた国内・国外発表のための旅費を使用する機会がなかった. 当初は謝金も検討していたが移動制限があり講演等に招待する機会もなかった.
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