研究課題
筋萎縮性側索硬化症(ALS)や前頭側頭型認知症(FTD)の失語症状は,典型例は原発性進行性失語症(PPA)と一致したり少なくとも一部重複することを考慮し,PPAの3病型を評価するスケールを作成した.スケールの対象を,脳血管性失語症,他の神経変性疾患(アルツハイマー病,パーキンソン病,その他のパーキンソン症候群)まで対象を広げた.評価項目数は10項目に増やして検討した.PPA,ALSおよびFTD患者,健常対象者,脳血管障害性失語症,他の神経疾患患者に対して実施した.現在まで121例に対して検査を実施した.失語領域の専門家にコンサルトし感度の高い採点方法を検討を完了した.以上より確定した,PPA評価スケールを用いてPPA,ALS,FTD他の疾患への妥当性を評価する予定である.また,アルツハイマー病,パーキンソン病等に関してもそれぞれの疾患に特徴的な障害パターンを描出できる可能性を得ている.先に記述したようにALSの言語症状はPPAの3病型に完全に一致することより,その不全型を経験することの方が多い.本スケールでALSの言語障害パターンを明らかにすることも可能と考える.言語機能の他にもALSでは,FTDに類似した性格・行動変化,認知機能障害および失語症を高頻度に呈する.本研究はALSとFTD患者を対象に臨床データ(発症年齢,性,経過月数,発症部位,他),各種評価スケール(運動機能,認知機能,行動障害,および言語評価スケール)と定量的脳画像データ(MRI,SPECT)を集約して解析する.各モダリティ間の関連性と症状進展・予後予測因子を検討し,運動症状と多彩な非運動症状を包括したALSとFTDの全体像の描出を試みることを,研究の最終目標として掲げている.画像評価としてSPECTデータの統計解析に向けた評価方法の検討を現在も継続している.
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Stem Cell Res Ther
巻: 13 ページ: 470
10.1186/s13287-022-03168-5
eClinicalMedicine
巻: 53 ページ: 101707
10.1016/j.eclinm.2022.101707