研究課題/領域番号 |
20K07869
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松下 拓也 九州大学, 大学病院, 講師 (00533001)
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研究分担者 |
渡邉 充 九州大学, 大学病院, 助教 (30748009)
吉良 潤一 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (40183305)
磯部 紀子 九州大学, 医学研究院, 教授 (60452752)
真崎 勝久 九州大学, 大学病院, 講師 (90612903)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 視神経脊髄炎スペクトラム障害 / KCNMA1 / アストロサイト |
研究実績の概要 |
私たちは視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorders: NMOSD)の身体障害度とBKチャネル遺伝子(KCNMA1)多型の関連について報告し、この多型が横断性脊髄炎の頻度に関わることを見出した。またNMOSD患者の脊髄ではKCNMA1の発現が脱髄に対して保護的に作用していることを明らかにした。当研究ではNMOSDの急性期脊髄傷害に及ぼすKCNMA1の影響を明らかにし、その調整を介した新たな神経傷害抑制方法の開発を目的とする。マウス脊髄の染色では、NMOSDに特異的な自己抗体である抗aquaporin-4(AQP4)抗体と同様に、抗KCNMA1抗体により脊髄灰白質の血管周辺に発現が確認された。マウス胎児脳から形成したアストロサイト培養細胞においてはKCNMA1はAQP4と同様に細胞膜に発現が見られるとともに、核周辺にも発現を認めた。このアストロサイト培養細胞に抗AQP4抗体陽性患者血清から抽出したIgGと補体を添加すると細胞死が増加したが、KCNMA1 activatorおよびinhibitorであるISO、PAXを添加しても細胞死に影響はなかった。一方で患者IgG添加によりNFκBの核内移行は促進するが、PAXの添加によりこの核内移行は増加し、ISO添加により低下した。この結果よりKCNMA1は直接的に補体介在性の細胞傷害を抑制するというよりはむしろアストロサイトの炎症誘導を抑制することで神経保護作用をもたらすと考えられた。マウス脳へ患者IgGと補体を同時注入し、PAXやISOを添加による病理像の形成に及ぼすKCNMA1の影響について検討を開始した。
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