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2021 年度 実施状況報告書

自己免疫性脳炎の新規治療ターゲット同定を目指した神経細胞表面抗体の分子病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07875
研究機関日本大学

研究代表者

原 誠  日本大学, 医学部, 准教授 (10817224)

研究分担者 中嶋 秀人  日本大学, 医学部, 教授 (20330095)
大日方 大亮  日本大学, 医学部, 准教授 (20624886)
藤原 恭子  日本大学, 歯学部, 准教授 (40595708)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード神経細胞表面抗体 / 初代培養神経細胞 / RNAシークエンス / qPT PCR / パスウェイ解析
研究実績の概要

2021年度は自施設及び国内の医療機関から集積した脳炎患者から新規に18例の神経抗体陽性例を検出した。特異抗原の診断については,特定の抗原をHEK293細胞に強制発現して免疫染色で検出するcell-based assay法により抗NMDA受容体抗体陽性8例,LGI1抗体陽性例2例,GABAB受容体抗体2例,CASPR2抗体陽性2例を確定診断した。
神経細胞表面抗体の作用については,昨年度に患者IgGプールから抽出したNMDAR IgG,LGI1 IgGを用いて,P60で培養したラット成熟海馬初代培養細胞に対して,NMDAR IgG及び,正常コントロールIgGを作用させたのち,各々の細胞群からRNAを抽出(Quiagen社のプロトコールに準拠)した。抽出したRNAを用いて有意に変動する遺伝子群を抽出するためにRNAマイクロアレイを使用してシークエンス解析を施行した。そして,NMDAR IgGを作用させた細胞群で有意に発現が低下していた遺伝子群を特定するに至り,qRT PCRでも発現低下を確認することができた。さらに,発現低下を認めた遺伝子群が関与する細胞内シグナルを特定するために,Metascape及びGSEAを用いてパスウェイ解析を施行した結果,神経保護的に作用する細胞内シグナルに関与するパスウェイが抑制されていることを確認した。抑制されているパスウェイの中で中心的な作用をする遺伝子については神経細胞膜への発現が知られており,現在,細胞免疫化学的手法及びイムノブロットにより細胞膜での発現低下を定量的に確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RNAシークエンス解析の結果から有意に発現が抑制されていた遺伝子群に対してqRT PCRを行い発現低下を定量的に確認した。さらにin-silicoな解析により細胞内パスウェイとの関連を同定するに至っており,2021年度については概ね計画通りに進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

2022年度は2021年度で確認されたNMDAR IgGにより抑制された遺伝子群の機能解析を進めていく予定である。細胞保護的に働くパスウェイで中止となる遺伝子については膜蛋白をコードしていることが確認されたため,標的遺伝子の導入により神経細胞に膜蛋白の発現を増強させることで,NMDA受容体の機能(NMDA電流)に回復がみられるかを電位依存性色素を用いて確認する。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者と2名の共同研究者で合計47468円の次年度使用額が生じた理由として、RNAマイクロアレイの測定料および神経細胞培養に関する消耗品費が当初の計画より安価で購入できたことによる余剰であり、2022年度に予定している標的遺伝子の機能解析に用いる試薬の購入に充当することを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Novel qEEG Biomarker to Distinguish Anti-NMDAR Encephalitis From Other Types of Autoimmune Encephalitis.2022

    • 著者名/発表者名
      Mizoguchi Tomotaka, Hara Makoto, Hirose Satoshi, Nakajima Hideto
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 13 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fimmu.2022.845272. eCollection 2022.

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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