研究課題
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核症候群、パーキンソン病、多系統萎縮症などの神経変性過程や多発性硬化症や視神経脊髄炎などの神経炎症過程では、グリオーシスが生じ、モノアミン酸化酵素Bが増加することが知られている。モノアミン酸化酵素Bの増加は病変部位と一致し疾患特異性があることから、モノアミン酸化酵素Bの分布を把握することにより疾患鑑別や病期推定に有効であると考えられる。本研究ではモノアミン酸化酵素Bに結合できる[18F] SMBT-1 PETを用いて、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核症候群、パーキンソン病、多系統萎縮症などの神経変性疾患や多発性硬化症や視神経脊髄炎などの神経免疫疾患について可視化・画像化できることを確認し、[18F] SMBT-1 PET がこれらのパーキンソニズムを来す疾患の早期診断や鑑別に有用であるかについて検討する。さらに、[18F] SMBT-1 PETの経時的変化を評価することにより、各疾患における病期進行の指標などに応用可能かどうかを検討する。本研究は令和2年度から令和4年度までの3年計画を予定しており、今までに進行性核上性麻痺(リチャードソン症候群)、大脳皮質基底核症候群、パーキンソン病、多系統萎縮症、多発性硬化症、視神経脊髄炎患者のピックアップができており、進行性核上性麻痺の多くの患者で同意取得もできている。しかしながら、COVID-19対応や地震によるサイクロトロン破損のため遅れが生じている。今後、地震で破損したサイクロトロンの修繕を待って、 研究計画に沿って[18F] SMBT-1 PETを順次施行する予定である。
4: 遅れている
研究対象である進行性核上性麻痺患者のピックアップならびに同意取得、大脳皮質基底核症候群やパーキンソン病など神経変性疾患患者、多発性硬化症や視神経脊髄炎患者など神経免疫疾患患者のピックアップまで順調に遂行できていたが、COVID-19対応や地震によるサイクロトロン破損のため遅れが生じている。今後、COVID-19感染状況を考慮しながら早急にPET検査を施行しデータを収集する予定である。
各疾患の患者のピックアップはできていることから、PET撮影の環境が整いしだい、順次にPET検査を施行しデータ収集・解析を行う予定である。各疾患の病変部位にモノアミン酸化酵素B集積の可視化・画像化ができることを確認し、神経変性疾患や神経免疫疾患における [18F] SMBT-1 PETの鑑別の有用性についても検討する予定である。
各疾患のPET検査ができなかったため残額が生じてしまった。PET検査を施行し画像データ集積ならびに解析を行い、学会発表などを次年度に行うこととし、未使用額をその費用に充てることとしたい。
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