研究課題
進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核症候群などのタウオパチーでは脳内にタウ蛋白が異常凝集し、グリオーシスが生じるとともにモノアミン酸化酵素Bが増加する。このモノアミン酸化酵素Bの増加は各疾患の病変部位を反映していることから、モノアミン酸化酵素Bの分布を把握することはこれら疾患の鑑別に役立つことが予想される。さらに、各疾患において神経変性が進行、すなわちグリオーシスが増大することに伴いモノアミン酸化酵素Bが増加することから、モノアミン酸化酵素Bの集積量を測定することは病期の推定に役立つ可能性がある。本研究ではモノアミン酸化酵素Bに特異的に結合するPETトレーサーである[18F] SMBT-1を用いて、進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核症候群の患者にPETを施行し、各疾患におけるモノアミン酸化酵素B画像を作成することを目的にしている。 [18F] SMBT-1 PET がこれらのタウオパチーを来す疾患の鑑別に有用であるかを統計解析ソフトを用いて検討する。さらに、[18F] SMBT-1 PETの経時的変化を評価することにより、各疾患における客観的な病期進行の指標などに応用できるかを検討する。本研究は令和2年度から令和6年度までの5年計画を予定している。今までに進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核症候群の患者のピックアップができており、多くの進行性核上性麻痺の患者において同意取得ができている。今年度においては、進行性核上性麻痺患者1名と正常健常者3名において、[18F] SMBT-1 PETを施行した。進行性核上性麻痺において、視覚的に脳幹部での集積亢進がみられた。しかしながら、COVID-19による影響のために遅れが生じている。今後、研究実施計画書に従って各疾患、正常健常者に[18F] SMBT-1 PETを順次施行し画像解析をする予定である。
4: 遅れている
研究対象である進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核症候群患者ならびに正常健常者のリクルート、同意取得まで順調に遂行できているが、COVID-19による影響のために運動機能評価、認知機能評価、脳MRI検査、[18F] SMBT-1 PET撮影に遅れが生じている。今後、円滑かつ早急に[18F] SMBT-1 PET検査を施行して画像データを収集して解析する予定である。
各疾患の患者ならびに正常健常者のリクルート、同意取得はできていることから、各種評価、脳MRI、[18F] SMBT-1 PET検査を順次施行しデータ収集・解析を行う予定である。正常健常者と比較し各疾患の病変部位に一致してモノアミン酸化酵素Bが集積していることを[18F] SMBT-1 PETを用いて確認し、[18F] SMBT-1 PETによりタウオパチーにおいてモノアミン酸化酵素Bの可視化・画像化ができることを明らかにする。タウオパチーの鑑別や病期推定における [18F] SMBT-1 PETの有用性についても検討する。
COVID-19感染の影響により各種評価、脳MRI検査、[18F] SMBT-1 PET検査を施行できなかったために残額が生じてしまった。各種評価、脳MRI検査、[18F] SMBT-1 PET検査を順次施行し画像データの収集ならびに解析を行い、学会発表などを次年度に行うこととし、未使用額をその費用に充てることとしたい。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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