2021年度に「地域で実施可能な認知症やフレイルに関する高齢者向け検診のあり方」について示唆を得るための研究を鳥取県東伯郡琴浦町にご協力を頂き実施することができた。2022年度にその成果を論文にまとめた。英文校正を行い現在英文誌に投稿中である。 いくつかの認知症では嗅覚機能が低下することが知られているが、認知症により低下した嗅覚からの刺激を補うために、アロマセラピーにより嗅覚を刺激することで、大脳辺縁系へのシグナル伝達を増強することができると考え、アロマセラピーによる認知症の症状改善効果を検証している。アロマセラピーは昼間はローズマリー・カンファ―とレモンのブレンドを用い、夜間は真正ラベンダーとスイートオレンジをブレンドしたものを用いた。これらを使い認知症患者に対して4週間のアロマセラピーを実施することで、認知症の治療効果や進行度合いの評価法として使用されているGottfries-Brane-Steen ScaleやTDASのスコアが改善したことを報告した(Psychogeriatrics 2009; 9(4): 173-179.)。このような根拠に基づいて2022年度には、2021年度に行った琴浦町で研究に参加された高齢者を対象にアロマセラピーによる予防介入効果を行い、その効果を検証する予定であった。しかし、また新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、地域での研究の実施ができなかった。地域在住の高齢者には、基礎疾患を有する方も多く、琴浦町の地域包括支援センターの職員さんと相談のうえ、やむおえず研究計画を中止せざるを得なかった。
|