研究課題/領域番号 |
20K07888
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
山下 謙一郎 国際医療福祉大学, トランスレーショナルニューロサイエンスセンター, 准教授 (00596687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルツハイマー型認知症 / 安静時機能的MRI / Resting State Network |
研究実績の概要 |
本研究はDMNとアルツハイマー病(AD)でのAβの凝集好発部位の解剖学的な相同性に基づいて、脳機能的ネットワークの神経活動の過活動が、ADの分子病理学的異常の顕在化に先行し、かつRSN間の機能的結合異常がADの進行を促進するという新規仮説に基づいて研究を実施している。またADに対する抗認知症薬が奏功する症例では、RSN変化が認知機能改善に関連しているのではないかと考え研究を実施した。診断時に安静時機能的MRI撮像を実施し、抗認知症薬開始後約6カ月後に2回目の安静時機能的MRI撮像を実施した。抗認知症薬が有効な群では、無効群と比較して背側注意ネットワークの活動が亢進していた。このネットワークをシードとして、1回目の安静時機能的MRIデータでROI解析を実施したところ、無効群では背側注意ネットワークと腹側注意ネットワークの機能的結合が有意に増強し、認知機能検査の点数と負の相関を示した。以上の内容を論文にまとめ雑誌に報告した(Yamashita et al., Frontiers in Aging Neurosci 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者の登録および認知機能検査、安静時機能的MRI撮像がコロナ禍の影響がありMRI撮像を実施できる症例が減少している。また学会発表も移動制限のため実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
抗認知症薬に対するAD症例での複数回の安静時機能的MRI撮像による脳機能的ネットワーク変化を検出する研究は、引き続き症例登録を推進していく。症例数が増加すれば、各抗認知症薬毎に解析を行う。また2回目以降の安静時機能的撮像は実施せず、認知機能評価のみ行いそのデータと1回目の安静時機能的MRIでの脳機能的結合の関連を、独立成分分析に特化した新規解析プログラムを用いて検討していく。さらに自覚的記憶障害を訴える健常高齢者では、アミロイドが蓄積し始めていると推測できるため、経時的な安静時機能的MRI撮像を実施してその変化を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による実験進捗の遅れのため、解析ソフトなどを購入しなかった。また移動制限により学会参加のための旅費を使用できなかったため次年度使用分が発生した。
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