研究課題/領域番号 |
20K07889
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
真崎 勝久 九州大学, 大学病院, 講師 (90612903)
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研究分担者 |
山口 浩雄 九州大学, 大学病院, 特任講師 (00701830)
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
渡邉 充 九州大学, 大学病院, 助教 (30748009)
吉良 潤一 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (40183305)
松瀬 大 九州大学, 医学研究院, 助教 (70596395)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症 / コネキシン / ギャップ結合 / シヌクレイン / オリゴデンドロサイト |
研究実績の概要 |
多系統萎縮症における脱髄・神経細胞脱落の機序を解明するため、グリア細胞間でギャップ結合を形成するチャネル蛋白であるコネキシン蛋白群に着目して発現解析を施行した。病理学的に確定した多系統萎縮症患者剖検15例を対象とし、リン酸化αシヌクレインの蓄積がみとめられた小脳白質や橋底部の入力線維におけるアストロサイトのCx43とCx30、オリゴデンドロサイトのCx32とCx47をそれぞれ免疫染色し、その他のグリア細胞マーカーとしてGFAP、AQP4、MAG、MOG、TPPP、CD68、neurofascin、OSP/claudin-11を使用し、発現パターンを比較検討した。脱髄の程度によってStage I(早期)、Stage II(中期)、Stage III(末期)に病変を病期分類した。早期病変であるstage Iでは、Cx32の発現がオリゴデンドロサイトの細胞膜や髄鞘から消失し、リン酸化αシヌクレインとともに細胞質内に凝集することを見出した。脱髄はまだ軽度で、paranodeに発現するneurofascinやOSP-/claudin-11は比較的保持されていたことから、Cx32が優先して発現低下してくる可能性が示唆された。Cx47はstage IIからオリゴデンドロサイト細胞膜やミエリン鞘から発現低下が目立っていた。アストロサイトのCx43はstage Iでのみ発現低下し、stage IIやstage IIIではアストログリオーシスを反映して発現亢進がみとめられた。コネキシンが形成するギャップ結合は、軸索の電気的興奮で発生したKイオンを血管内まで戻すために重要な役割を担い、またグルコースやATPなど細胞の恒常性維持に必須の物質の細胞間移動に重要とされる。多系統萎縮症における早期からのコネキシン蛋白の発現異常が脱髄に寄与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多系統萎縮症剖検15例における解析は終了し、現在論文投稿準備中、近く神経病理学専門誌へ投稿予定である(Nishimura Y, et al. In preparation)。また、わたしたちが作成した多系統萎縮症モデルマウスでもコネキシン蛋白群が発現低下することはすでに見出しており、コネキシンを標的とした治療介入を推進する計画を新たな大学院生と進めている。
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今後の研究の推進方策 |
多系統萎縮症剖検15例を用いた病理学的研究では、ミクログリア・マクロファージに着目した解析、オリゴデンドロサイト前駆細胞に着目した解析をそれぞれ進行中であり、それぞれの論文化を進めている。オリゴデンドロサイト前駆細胞に関する研究では、すでに一部のタンパク質が病変内で著明に発現亢進していることを見出しており、詳細な検討を進めている。また、モデルマウスにおいては、薬剤の髄腔内投与の実験系が確立できており、コネキシンの発現を修飾できる薬剤(INI-0602やGAP17)を順次試していく計画を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
一次抗体や研究用試薬を、これまで当科研究室で所持していたものである程度利用できたため、次年度に新たな実験用抗体などを購入する予定としている。
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