研究課題
アルツハイマー病(AD)に伴い高頻度で脳アミロイド血管症(CAA)が併発する。老人斑の主成分であるAβ40蛋白は主に脳血管の平滑筋に沈着し、脳出血、脳梗塞、血管炎などを惹起するCAAの原因となる。脳アミロイド血管症関連の脳炎症状態も報告されているが、その機序は解明されていない。我々はバイオ3Dプリンターを用いて、ヒト由来の細胞から成る血管構造体を作成し、血液脳関門の構造・機能を持ったモデルを作成している。我々は細胞凝集塊を積み上げることにより、任意の形状の細胞構造体を作る手法(Bio Rapid prototyping system;以下BRP)を確立した。任意のXYZ の位置に複数のスフェロイドを配置するロボットシステム“バイオ3D プリンター”により3次元デザインデータを基にスフェロイドを剣山に重ねていくことで、生きた細胞によるより複雑な立体構造を精密かつ簡便に作成することが可能となった。ヒト線維芽細胞((NHDFs)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)、ヒト初代培養アストロサイト(HAs;)、ヒト脳血管ペリサイト細胞(HBVPs)は細胞培養用ディッシュで培養した。バイオ3Dプリンターを用いて、スフェロイドを9x9本の針が並べられた微小なニードルを配置した剣山上に積層した。チューブ型に形成して還流培養を行い、1週間後に構造体を剣山から外し、蛍光ラベルAβ40を添加し、還流培養を継続した。蛍光免疫染色では、Aβ40は、大動脈平滑筋細胞内部やその周囲に多く見られた。大動脈平滑筋細胞、大動脈内皮細胞の構造は保たれていた。Aβ40を添加した血管状構造体を、張力計 (Tissue Puller 560TP, DMT)を用いて引張試験を行った。Aβ投与群は組織が硬化していると考えられ、Aβ投与により組織が硬化して弾力が失われた可能性があると考えられた。
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