研究課題/領域番号 |
20K07894
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
桑原 基 近畿大学, 医学部, 講師 (40460860)
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研究分担者 |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
宮本 勝一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50388526)
山岸 裕子 近畿大学, 医学部, 講師 (80826040)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ガングリオシド / 糖脂質 / Caspr1 / 蛋白 / 脱髄性ニューロパチー |
研究実績の概要 |
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の一部の患者において、末梢神経の傍絞輪部に局在するneurofasctin155、contactin1、caspr1などの蛋白に対する自己抗体が同定され、それらの抗体陽性例はnodopathyと呼ばれている。今回、ELISAによる測定系でCIDP患者血清を用いてcaspr1蛋白抗体を測定し、2例でcaspr1に対する抗体活性を検出した。Caspr1抗体陽性例は、比較的高齢、亜急性発症で、深部覚障害と運動失調をみとめ、脳脊髄液の蛋白は著明に増加しており、経静脈的免疫グロブリン療法に抵抗性であった。次に、糖脂質-蛋白複合体に対する抗体活性を測定するために、同一のELISAプレートに糖脂質と蛋白の両方を固相化するELISA測定系の確立に取り組んだ。作成したELISAプレートを用いた抗体活性の測定において、糖脂質抗体陽性例と蛋白抗体陽性例の各々の血清に対して単独抗体反応が正確に検出されることを確認した。また、ギラン・バレー症候群(GBS)において検出されるガングリオシドGD1a抗体は予後予測スコアのmEGOSと組み合わせることでより正確な予後予測が可能となることを以前報告したが(Yamagishi Y, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2020)、今回はGD1a抗体陽性群(GM1抗体は陰性)とGM1抗体陽性群(GD1a抗体は陰性)で新たに比較検討したところ、GD1a抗体陽性群ではmEGOSが高値の場合に高率に予後不良例がみられることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ELISA測定系によるcaspr1蛋白に対する抗体活性検出によって、CIDP患者血清中にcaspr1抗体を同定した。 また、糖脂質と蛋白の混合抗原(糖脂質-蛋白複合体)に対する抗体反応を検出するためのELISA測定系を確立することができたため、概ね順調にすすんでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の対象となる急性および慢性の脱髄性ニューロパチーの臨床データ・検体の収集は完了しており、今後は糖脂質-蛋白複合体に対する抗体測定系を用いて多数例の検体に対する解析をすすめながら抗体活性の臨床的意義を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は研究分担者の所属機関の異動があったため未使用額が生じたが、次年度は予定通り物品購入等に用いることになる。
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