研究実績の概要 |
中枢神経系の自己免疫疾患における非下垂体性プロラクチンの意義を明らかにするために、研究を進めている。PRL反応性を失ったT細胞の移入による効果を調べることを計画していたが、予定していたPRL受容体欠損(PRLRKO)マウスの繁殖が当初の予想よりかなり悪いことがわかってきた。必要数の個体を確保するために飼育環境の改善を図ったが、繁殖効率の向上には至らず、全てのRAG2KOマウスへのT細胞の移入実験を、PRLRKOマウス由来の細胞で実施することができなかった。そこでRAG2KOマウスへのT細胞の移入については、PRL受容体ヘテロマウスを用いた実験を継続中であり、T細胞のPRL受容体発現がEomes陽性Th細胞の生成に重要な役割を果たすことを示すデータを得ている。またSLEモデルマウスであるBXSB-YaaマウスにPRL阻害剤を投与したところ、病態の部分的抑制が観察された。同時にT細胞の機能変化が認められられたことから、PRLの作用機序を含めた病態との相関を解析している。核内受容体分子NR4A2がMS/EAEの初期病態に関わる病原性T細胞の機能制御に深く関わることを見出し、SLEモデルであるBXSB-Yaa背景のマウスにNR4A2をT細胞特異的に欠損したマウス(NR4A2cKOマウス)の自己反応性T細胞が有意に減少すること、および病態が警戒することを論文発表した(Raveney et al., EMBO Mol Med 2022)。自己反応性T細胞の生成過程では、血清中のPRL産生が増強しており、PRL受容体ヘテロマウスにEAEを誘導すると、自己反応性T細胞の生成が低下することを見出した。一連の研究結果を論文としてまとめるべく、現在関連データの取得を進めている。
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