研究課題
本研究では、BAFMEにおいて、おもに誘発電位の高周波帯域をターゲットとした詳細な波形解析を行い、皮質振戦・てんかんの発生機構を解明し、さらに臨床所見・遺伝子異常との関連も検討・解明し、遺伝子レベルから個体・症候レベルまでの病態解明・バイオマーカー確立を目的としている。まず3年目として、当施設で加療中の ①BAFME 患者、②疾患コントロール群(他の皮質ミオクローヌスを来たす疾患群)の脳波・体性感覚誘発電位の計測を行った。その後、上記計測でえられたデータを、オフラインで高周波帯域の成分、特に高周波律動(HFO)に注目した解析、および時間周波数解析を行った。脳波では、BAFMEのてんかん性放電の一部に共起する高周波律動(HFO)を認めた。さらに体性感覚誘発電位の検討では、多くのBAFME患者において巨大体性感覚誘発電位に共起した高周波律動(HFO)を認めた。対照的に、他の皮質ミオクローヌス患者では一部を除いて、巨大体性感覚誘発電位にはHFOをほとんど認めないという非常に興味深い知見がえられた(Tojima et al., Mov Disord. 2021)。また一方で、BAFME・疾患コントロール群の診療情報のデータベース化も並行して開始・継続している。4年目は、上記の高周波律動(HFO)を用いて、BAFMEに特徴的な不随意運動である皮質振戦の発生機構の解明を行っていく予定である。また各種臨床所見(治療による変化も含む)、遺伝子異常(リピート数)などの結果との融合的解析を行っていく予定である。最終的には、HFOを用いた病態解明(HFOと症候・遺伝子異常との関係の解明)およびバイオマーカーとしてHFOの確立(遺伝子診断の前段階でのスクリーニング・治療反応性の予測・治療の評価指標としてのHFOの有用性)を目指している。
3: やや遅れている
当初のロードマップでは、倫理委員会承認後、2年目で(1)BAFME・疾患コントロール群・健常者での各種計測、(2)各群における高周波解析、(3)BAFME・疾患コントロール群における臨床情報のデータベース化を予定していた。(1)に関しては、BAFME・疾患コントロール群はコロナ禍による受診控えの影響で、各種計測が予定通りに行うことが出来なかった。(2)各群における高周波解析においても、疾患群と同様に予定通りに行うことが出来なかった。ただし、1,2年目と同様にほとんどBAFME患者において巨大体性感覚誘発電位に共起した高周波律動(HFO)を認めた。対照的に、他の皮質ミオクローヌス患者の巨大体性感覚誘発電位ではHFOをほとんど認めなかった。この非常に興味深い知見を確認することが出来た。(3)BAFME・疾患コントロール群における臨床情報のデータベース化を行っているが、上記の計測の遅れにより、データベース構築も少し遅れている。
4年目は、ウィズコロナ政策により、徐々に各種の計測、データベース構築も進んでいくものと想定される。上記でえられた高周波律動(HFO)を用いて、BAFMEに特徴的な不随意運動である皮質振戦の発生機構の解明を行っていく予定である。また各種臨床所見(治療による変化も含む)、遺伝子異常(リピート数)などの結果との融合的解析を行っていく予定である。最終的には、HFOを用いた病態解明(HFOと症候・遺伝子異常との関係の解明)およびバイオマーカーとしての確立(遺伝子診断の前段階でのスクリーニング・治療反応性の予測・治療の評価指標としてのHFOの有用性)を目指している。
コロナ禍による学会のリモート開催により、旅費などの使用額が想定よりも減少したため、次年度使用額が生じたものと考えられる。次年度は、コロナ禍による影響も踏まえた上での適正な研究費の使用計画を立てることとする。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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